01
「遅くなっちゃったねー」
「でも皆起きてるでしょ!」
「あはは、だよね!」
私たちは友達でもあり、松野家の六つ子である次男・カラ松くんと三男・チョロ松くんの彼女でもある。
そして今日はクリスマス。
クリスマスと言えば、サプライズでプレゼントを渡して皆でパーティー!
なんて良い企画、この案を考えたのは私の友達でもあるチョロ松くんの彼女・なまえ2だ。
なまえ2はチョロ松くんに似て真面目で、顔も友達の私が言うのもなんだが可愛い。
なまえ2の提案で、最初はそれぞれの恋人とクリスマスを過ごすつもりだったが、どうせなら六つ子たちとも私たちは仲が良いしで、皆でクリスマスパーティをやろうと言う事になった。
2人で話し合い、やっぱりプレゼントは交換するのが一番良いという結果になり、今は2人でそれぞれ持ち寄ったプレゼントをカバンに隠し六つ子たちの家へ向かっている。
カラ松くんとチョロ松くんにはサプライズなので、この事は言っていない。
でもきっと皆てクリスマスパーティをする予定だったのだろうし、プレゼントは買っているだろうという予想だ。
「ほら! ここだよ」
「チョロ松くんここに住んでるんだ……はぁー、ドキドキする!」
「あれ、なまえ2は家行ったことないの?」
「私たちのデートはほとんどにゃーちゃんのライブかショッピングだもの、そう言うなまえは?」
「……実は、私もまだない」
「同じじゃん!」
なんて笑い合う。
それにしてもドキドキが止まらない。
じゃんけんの結果、負けた私がインターホンを鳴らす事になった。
勇気を出してインターホンを押す。
「……出てこないね」
「まさか、いないとかないよね?」
「わ、考えなかった!」
「どうするの?」
「もう一度押してみるね!」
二度目のインターホン。
中には絶対聞こえているはずなのに。
そう思いながら押す。
「あら、女の子?」
全然出てこなくて、もう帰ろうかと2人して諦めかけたところに突然開いた戸。
きっとカラ松くんのお母さんなのだろう。
お、親御さんが居るという事を想定内に入れていなかった! そんな思いが2人の頭の中を巡る。
迷惑って思われたらどうしよう。
ああ、もう、2人してネガティヴだ。
2人で困りながら目をチラチラと合わせていると、カラ松くんのお母さんらしき人が「ちょっと待っててね」と言って数分経った後、やっと戻ってきたと思ったら旦那さんを連れて外出着を着ていた。
「あなたたち、ニートの彼女さん? 私たち出かけるから好きに使って良いわよ! ニートたちをよろしくね!」
「すまんな! ニートどもをよろしく頼む!」
「へ? ちょ、ちょっ!?」
「あの、えぇ!?」
そして足早に去る2人。
立ち竦む私たち。
「えーと、取り敢えず、入る?」
「うん……一応、了承は頂いたしね」
「「お邪魔しまーす」」
恐る恐る中へ入ると、六つ子たちのものであろう靴が6足揃っており、皆家にいると言う事が分かりホッと胸を撫で下ろした。
「な、なんか暗くない?」
「だね……すいませーん……カラ松くん?」
「ち、チョロ松くーん!」
2人して呼んでも、誰も出てこない。
寝てるのかな?
なんて考えが2人の中に出てくる。
「うー、どうする?」
「あーもうデジャブ!」
私がそう小さめに叫ぶと、居間であろう部屋の方向からガタガタと物音がした。
ビリビリと何かを破る音。
何かを叫ぶ誰かの声。
ベチャッと何かが投げられた音。
「ほ、ホラー!?」
「あっちにいるんだよ! 行ってみよう!」
「なまえってばメンタル強いね! う、後ろに隠れても良い?」
「どーぞ」
そう言って私の背中に隠れるなまえ2。
恐る恐る居間の戸を開けると、その部屋には6人のゾンビがいました。
「「……え?」」
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