05
「……え?」
「ぼ、僕から言うからね!」
「はっはい!」
その言葉にドキリとする。
いつもふにゃんと笑っている普段のトド松くんとは思えないくらいの真剣な顔で余計に心臓がうるさい。
私がストンとベンチに腰を下ろすと、トド松くんは私の両手を取り言った。
「好きです、僕と付き合ってください」
一気に視界が華やぐようだった。
体全体に熱湯がかけられたような錯覚に陥り、今自分はとんでもなく真っ赤になっている事だろうと面白いくらいに予想ができる。
これまでにないくらいに鼓動が速い。
私はその言葉を聞いた瞬間固まった。
「私も、好きです。よろしくお願いします!」
私がそう大きな声で言うと、トド松くんは張り詰めた真剣な顔を崩し、またいつものように照れながらふにゃりと笑う。
「よかったぁ、断られたら僕自殺ものだもん」
「こっ断るわけない!」
「……じゃあ、これから僕ら恋人だね」
「……うん」
見つめあってるだけで、幸福の絶頂にいるかのように思えてくる。
「なまえちゃん、好きだよ」
「私も好き、トド松くん」
(なまえ、結局どうなったの?)
(付き合う事になったの)
(ヒューおめでとう! ま、知ってたけど)
(は? どういうこと?)
(電話で告白するって聞いた)
(あ、あの時か〜!)
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