小説 短編 | ナノ
02
「それじゃ、明日の夜よろしくね!」

「はいはい、私忘れちゃってるかもだから、ちゃんと私にLINEしてね?」

「分かってるよ、忘れっぽいもんね」


そう言って会計を済ませ、各々が帰路を進む。

私はスマホの画面をにまーっと見つめたまま地面の白線の上を辿って帰った。



「……そろそろLINEしても良いよね」


スマホと睨めっこをしながら唸る。

今の時刻は午後6時。
うん、問題ない。

早めに連絡しとかないと私が忘れちゃうし。
言わないと恵は覚えていないだろうし。
……LINEしとこう。

一言「あのことよろしくね!」と送れば、すぐに既読がつきOKサインをしている猫のスタンプが送られてきた。

か、かわいい……!



翌朝、私はいつもより1時間早く目が覚めた。

ドキドキしてきっと寝られないだろうなー。
なんて思っていたのにすぐに寝れた。

……気持ちの問題なのかもしれない。

私はベッドから足を下ろし、長めのあくびをしてからカーテンを開ける。

日の光がパァっと差し込み、あまりの眩しさに思わず斜め右に視線を逸らす。


「あ、なんか来てる」


視線の先にスマホがあり、その画面にはLINEの通知が3件ほど来ていた。

恵から……。


「『オッケーだって』……! やったああ!! きたああ!! ついにデートできる!」


私が計画したものはこう言うものだ。

まずは、まあまあトド松くんと仲の良い恵が「私となまえと3人でどっか行かない?」とトド松くんに連絡をし、その許可を取る。

どこに行くかは恵に決めてもらった。
……無責任なんて言葉は聞かない。

許可が貰えれば、恵には株が下がってしまい申し訳ないが、本人も了承してくれたしでドタキャンしてもらう。

そして私とトド松くんの2人ででかける!

……なんて、うまくいけば良いけど。
許可取れなかったらその時点でもう失敗だもの。

まぁ、その許可が取れた今。
私は飛び跳ねて喜ぶほどに嬉しいのだ。

浮かれて忘れていたが、もう2件LINEが来ていたことを思い出し画面を確認する。


「えーと『明日の午前11時、〇〇駅の改札前、行き先は松野に聞いて』……ありがとう恵!」


なんてプランを組んでくれたんだろう。
神様に見えてくる……。

ああ、持つべきものは親友ってこう言う時に使うんだな、なんて思いが実感できた。

恵にお礼のLINEやスタンプを送りまくって、挙句の果てには電話までしてお礼を伝えた。


「あー、明日何着てこう! 今決めよう!」


デートなんて、何年ぶりかな。

高校時代に、トド松くんと一回だけだけど、帰り道スタバァに寄ったことがある。

それをデートと言うにはよく分からないが、私にとっては男女で2人きりで出かける。
私はもうデートだと舞い上がっていたのだが、今でもあの時のトド松くんの気持ちは分からない。

……今は服だ、服!



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