不在者たちの宴と笑う審神者と梅雨と同じ審神者



「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」

大広間に集まる刀剣男士たちに審神者はスッとつむじが見えるくらい頭を下げた。それに対し、刀剣たちも深々と頭を下げ各々言葉を返していく。
年が開けるというのは、実におめでたいことだと審神者は心の中でホウ…と息をつく。一年という暦上の時間の区切りは、人を新しい気持ちにさせてくれる。審神者は刀剣たちの顔をじっくり眺め、頬を緩めた。

「新しい年をみんなと迎えられて主として、家族としても、とても嬉しく思う」
「おや、嬉しいことを言ってくれるね」
「ははは、また季節が回り君たちとそれを愛でていけると思うと私は幸せだと感じるのさ」
「君は大袈裟だな」

審神者につられるように笑みを浮かべる初期刀の歌仙の頭上からは、桃色の花びらが舞っている。他にも、審神者の言葉に花を舞わせる刀剣が今、審神者の本丸は冬に入りしんしんと雪が降っている。正月に降る雨雪は神からの恵みの証として一年を豊かに過ごせると言われているが、まさか雨雪ではなく花弁が降るとは贅沢な御下がりだと彼女は目を細めた。

戦が続く中で、この幸福が永く続くことを密かに願った。


戻る