!腐っております



もう駄目だ終わった…じゃなくオワタ。

人生には三つの坂がある。
一つ目は、上り坂。
二つ目は、下り坂。
そして、三つ目はまさか。
人生には予期しない出来事が、必ず起こります。だから、それに備えて失敗しないようにしなさい。

と審神者研修時代にお世話になった先輩審神者に言われた卒業の言葉だ。私はその時、卒業に対し泣きじゃくり意味半分で聞いていた自分に海老反り固めをしてやりたい気分に襲われている。
そう、その先輩審神者が言っていた「まさか」が降りかかってきたのだ。

…万屋から帰ったら、私の部屋の机の上に本が並べられていたのだ。なんの本かは、押して測る。

私の秘蔵()の本が綺麗に、きっちりと、並べられている。
思わず、万屋の袋が手から離れて畳にガサリと落ちた。オワタ。まじオワタ。人って絶望すると笑い始めるって本当だったのね。こんなの知りたくなかった。乾いた笑いを浮かべながら、フラフラと並べられた本に近寄り手に取る。本を置くスペースを分散してたおかげか、机の上には全体の三分の一しか並べられてない。よかった。いや、よくないけど。三分の一は多い方だ。
あぁ、この年下攻めのリーマンパロは切ないすれ違いに何度胸を締め付けられただろう。受けが泣きながら「君には若い可愛い女の子と幸せになる権利がある」と別れを告げた時は、泣きながら攻めにはアンタしかいないんだよ!!バカッ!!と心の中で叫んだ。最後は、やっぱり君しかいらないとバリに熱い()夜を過ごして召された、私が。とにかく素敵なベーコンレタスでバイブル的な存在で、かなり読み込んだからページがべろべろになり三代目に突入した本だ。こっちは同性婚をして新婚さんを満喫する本…、あっちは学園モノ、他にはギャグとか…うん…。

「なんで私が特に読んでるやつピックアップされてるの…?」

ホラーだよ!
私イチオシの誰に見せても恥ずかしい本が目白押しだよ!生まれてきてゴメンナサイ!!
ぜひゅーぜひゅーと器官が悪いみたいな息を吐きながら、ベーコンレタスな本たちを丁重かつ素早く押入れにぶちこんだ。今度金庫を買おう。十桁ぐらい入力しないと開かない金庫を買おう。強い決意を固め、いざ密林でネット注文をしようとパソコンに飛びついたら障子に三回ノックされた。

「主…」

やべっオカンと書いて光忠と読む近侍が来た。ビビりすぎて肩が五センチぐらい跳ね上がった。うちのオカンは私に容赦がない。パソコンで密林でも開いてたら、また説教されていたかも。まだ開いてない!よっしゃセーフ!

「な、何?どうかした?!」
「話が…あるんだ…」

なんで溜めたの!?怖い怖い怖い!!
ねぇ!?見たの?貴様が見たの?みちゃったの?!ねぇ!?!?!親フラ(刀剣男士)とかいらない!お弁当を仕切ってある草みたいな奴ぐらい必要ないから!!
アババババッと手をわたわたさせているうちに、光忠は深刻そうな表情で中に入り私の前に座った。あかん!表情が!

「…」
「…」

無言やめてー!深刻な表情で無言とかもう私の本のこと以外にファイナルアンサーがないよ!倶利ちゃんにコールする暇も無いぐらい正解だよ!!ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!! ダズゲデェ猫型ロボットォ!!!光忠の記憶が永続的かつ瞬間的に消える道具か、私が地球の中心のマントルに突き刺される道具出してくれーー!!!

「アレを、見たの…ね」
「…さすが、主だね。僕の言いたいことが分かるなんて」
「うん、もう、思い当たる節が、それ以外、見つけられないの」

見つけたんでしょ?私のバイブルを?ベーコンレタスを…大丈夫、昔はよくある武士のたしなみのようなものだよ?とか言われても慰めになんかならないから。だったら光忠は倶利ちゃんとか長谷部とか鶴さんとかに抱いたり抱かれたりしたの???何それkwsk!!!とかなる訳ないからね?ちなみにどちらがネコだったか聞いてから殴る。
もう記憶がなるなるまで殴るしかないよね?今でしょ!って国語の先生も背中を押してくれてる。私はまだこの趣味をバラされる訳にはいかないの。

「僕としては、やっぱりこの事に関してはいろんな気持ちもある」
「…うん」
「でも、うん。ワガママを言わせてもらうよ」
「…そう。私も、光忠に言わせてもらいたい事があるの…」
「なんだい?」

い。まで言い切る前に、私は光忠のイケメンな面を思いっきりアッパーで打ち抜いた。

その後こんのすけから貞ちゃん実装を聞いて光忠との食い違いを知り、冷や汗をかきながらちょっぱやで手入れした。ちなみに私のバイブルを並べたのは、初期刀で腐れ仲間のまんばちゃんだった。


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