短い

秋も深まる今日この頃…。

もちろん嘘だ。本丸に季節の回りはない。
昨日、小判がたんまりあったから秋の景趣を買ってみた。庭が暖色に色づくのはなかなかに目を楽しませてくれる。刀剣男子たちにも好評で、特に歌仙なんかが「雅だねぇ…」と紅葉に気を取られ、うっかり廊下を滑りルンバ仙ルンバ定になったのは素晴らしかった。
その雅な文系ルンバが通った廊下で庭先に足を投げ出し、ずずっとお茶を飲む。隣にはまんばくんもとい山姥切国広も一緒だ。

「……栗が食べたい」
「倶利伽羅を……?」
「ちがう。秋の味覚の一つ、いが栗。あーゆーおーけー?」
「よくわからんが、わかった」

モスモスと蒸した薩摩芋を頬張りながらまんばくんは、二度深く頷いた。誰から貰ったの?と聞くと、むっちゃんからもらった。と薩摩芋を半分に割り寄越してきた。礼を言いながら、薩摩芋を頬張る。うん、美味い。さすが、我が初期刀むっちゃん。

「秋は……」
「んん?」
「秋はいいな……何を食べても美味い。それに、紅葉を見ているから写しを目に入れる奴がいない……」
「急なネガティブ!」

なんだか、まんばちゃん穏やかだし平和ー。とか考えてたら急な変化球が飛んできた。グッピーなら温度差で死んでるよ?

「まんばちゃん」
「なんだ主。芋はもうないぞ」
「いや、芋はいい。それよりさ美味しいもの食べてる時はその写し節止めよ?」
「写し節……」
「美味しい、幸せ、美味しい、写しの順は忙しいから止めよう」
「写し節……?」
「わかった?」
「よくわからんが、わかった」

この頭が緩い会話を楽しみながら縁側で芋を貪り続けた。あとからやってきた、ルンバ仙がすごい顔で見てきたけど。

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