つい先ほど、店で懐かしいお菓子を買ってしまった。

懐かしいとは言っても、まさかこの純和風に回帰した超未来にあるとは思わなかった。パッケージも変わらない赤の色合い。
鼻歌を歌いながら本丸に帰り、今日の近侍をお手伝いとして呼び出す。

「ただいまー!ごこちゃん来てー!」
「はっはい!主様おかえりなさい」

トトトッとたくさんの足音が近づき、はじめに虎くんたちが滑るように玄関に現れ、後を追い五虎退がやってきた。

「ごこちゃん、ちっと荷物もち手伝ってー」
「わぁ…たくさん買ってきましたね」
「懐かしいお菓子をね。みっけたから、みんなの分を買ったの」

といっても、かさばるだけで重くないよ。と三袋同時に持ち上げると五虎退はあわあわと持ちますよ!と言ってくれた。五虎退は天使。

「ありがとう。よし、台所にちゃっちゃと運ぼう」
「はい…。あぁ、虎くんひっぱらないで」

ガサガサと鳴る袋が気になるのか、袋にじゃれる虎くんをいなしつつ五虎退と廊下を歩く。もちろん、手をつなぎながら行きました。

「いやーありがとうごこちゃん!」
「お役に立てて嬉しいです」

台所に着き、一通り買ってきたものを手分けして仕舞いお礼を告げるとふわりと笑う五虎退。もう…五虎退の健気な返事に審神者はもう一撃必殺だよ……!
お手伝いありがとう八割、出掛けたから小腹が空いた二割でさっそく買ってきたお菓子を開ける。

「助かっちゃったから、お礼にこれを食べよう!」
「?なんですか?甘いにおいがします…」
「ふっふっふー…これは審神者がいた時代の美味しいお菓子だよ!」

ザララと袋からお皿に移し、五虎退に差し出すとお皿と私の顔を交互に見た後に嬉しそうに微笑んだ。かーわーいーいー!!と足元でお皿が気になっている虎くんたちを、邪魔にならない様にまとめて抱えながら思わず叫びそうになった。

「ピーナッツ……じゃなかった。落花生も入ってるから、たまにつまみながら食べると美味しいよ」
「はい…いただきます!」

サクッとした音がした後にほっぺに手を当て目をつぶり、はじめて食べるお菓子を味わう五虎退プライスレス……。もぐもぐとしてる口が緩み、ふにゃりと笑ってるように見える。

「おいしぃ……」
「でしょー?」
「甘くてサクサクしていて……主様の時代のお菓子は幸せな味がします…」

あーっ!可愛すぎる!!天使!!
と心の中で叫んで、腕の中の虎くんをぎゅーすると顔中をざりざりなめられた。いたい、しあわせ、ゆめじゃない。


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