散々、彼女を罵りました。

審神者の元へ呼び出され、本当は心は歓喜に震えていました。今度は戦で身をたてることが出来る。そう感じたからです。実際に彼女は非力で霊力はあれど、体力はからきしでした。籠の鳥はついに戦を掛ける刃になれたのです。
しかし、人身をとると口から出るのは貶し罵る言葉ばかり。審神者にどれほど、憎まれ口をきいたか。思い出しては悲しくなりながらも、謝る機会はなく時は早馬のように過ぎ去りました。



「死ぬんですか」
「そうだよ宗左」
「僕を置いていくのですね」

布団には年老いた審神者が横たわっていた。何もできない自分はただ座り責めるように恨むように彼女を見つめていました。置いていくなと言っても彼女は目を閉じ口元を歪ませて笑うだけ。

「冥土にお前を道連れにするものか」
「連れて行ってください。帰る場所は貴方のところにしかないのです」
「嫌だよ。誰が好き好んで愛しいお前を連れ行くか」

年老いて皺だらけになってしまった手が左の頬を撫で、落ちた。最後に何て事を言って逝くんだ。

あぁ、愛しい貴女。


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