▽ 劣等感
リクエスト小説(啓吾×那智/無理矢理)
それは突然のことだった。
「や...っ、やめ、啓吾!!」
「...っ、るさい、だまれッ、」
手足をバタつかせて暴れる那智を啓吾は後ろから羽交い締めにし、押し倒して自由を奪う。
そして那智が床に倒された衝撃で、痛めた体に顔を歪めた時、啓吾は近くにあった布で那智の目を覆い頭の後ろできつく縛った。
目の前は暗闇に包まれ、体の自由も利かないこの状況に那智は必然的に恐怖を覚え、カタカタと体を震わせた。
大の男がこんなことくらいで情けない、と自分の中に悔しさが生まれる。しかし、そう考えても依然と恐怖を拭うことはできず、ただただ下唇を強く噛みしめた。
思い出されるのはつい数分前の出来事。那智は他愛のないことで啓吾と口論になっていた。
いつもなら何だかんだ言って、最初に頭を下げてくる啓吾が今回はなぜか怒りを抑えようとはせず、爆発させた。
だが、自分の発言の何に啓吾がここまで反応したのかは分からない。
さすがにここまできてしまっては、自分から謝った方が得策だ、と那智は抵抗をやめ、息を深く吸い込む。
「ごめん、悪かった。俺が悪かったよ。お前が俺の言ったことの何に怒ってんのかはわかんねぇけど...俺、よっぽどイラつくこと言ったん...――― 」
「あぁ、そう。わかんないか...俺が何に対して怒ってんのか、」
那智が言い終わる間もなく、その口は手で塞がられ耳元で啓吾の低音の、少し掠れた声が囁かれる。
そしてその瞬間、穿いていたスウェットを下着ごと足首まで引き下げられた。
「...ッ!!」
「はっ、ここ縮こまってる。」
ヒヤリ、と冷えた空気が下半身を覆い、恐怖で萎えて縮んでしまっている性器を握りこまれる。
顔を背けて、啓吾の手から逃れると、すぐに那智は触るな、と拒絶の声を向けるが当の本人はそんなことには耳を貸すつもりがないのか、ゆるゆると上下にそれを擦り始めた。
ゾクゾクとした快感は訪れる。しかし、恐怖が勝っているのかいくら啓吾がそこを弄っても性器は反応せず、萎えたままだった。
那智の口からは悲鳴染みた声がこぼれ、一向に反応しないそれに啓吾は舌打ちをし、性器から手を離した。
次に後ろで纏められていた両手も解放され、漸く正気に戻ったのだろうか、と那智は僅かに開いた口から安堵の息を吐き出す。
「え...ッ、ちょ、啓吾っ!?」
しかし、そんな自由もわずか数秒。不意を突いて力の抜けた両手首を背中の上で纏めて縛りあげられた。
下半身丸だしで腰だけを高く抱えあげられ、那智は羞恥で頬を赤く染めた。
「なっ、何すんだよっ!!いい加減にしろ!やめ...、ぅ、むっ、ん゛ん...ぐっ、」
たまらず那智は叫び声を上げるが口が大きく開いた瞬間にタオルのようなものが口内の奥まで押し込まれた。喉奥に押し込まれたタオルが奥に僅かにあたり、嗚咽しそうになる。
視界は塞がられ何も見えない。体は拘束されて動けない。口にはタオルが突っ込まれ、叫び声さえ上げられない。
そんな那智に残されているのは、
「那智、すごいエロい...」
聴覚と、
「...ッ!!」
「ここ、ヒクついてる。俺が触るたびに、」
触覚だけ。
尻の肉を揉みこむように触られ、2つの指で割かれる。そうして現れた尻の穴に啓吾はいたずらに中指で触れてくる。ツン、と爪でつつかれ、引っ掻かれれば穴は収縮し、啓吾の笑い声が部屋に響く。
「なぁ、どうしてほしい?ここ、俺ので激しく犯されたい?」
「ん゛ん...っ、ぅ...ふっ...ぅぐっ!!」
必死に啓吾から逃れようと這いずって動こうとするが、次の瞬間には腰を引き寄せられぬるついた指が無理に穴に押し入ってきた。
その痛さに生理的な涙が目の膜に張り、こぼれそうになった。
指はローションをつけたのかぬるついていたが一気に第二関節の節まで入れられたせいで激痛が走り、足の指が縮こまる。
「やっぱりきついなぁ...でも、中...あったかくて、気持ちいよ?」
「ふぅ...っ、くっ、ん゛ん...っ、ん、ぅ」
中を確かめるように指をぐるりと回転させ、少し引き抜いては再び奥まで埋められる。何度も何度も同じことをされ、仕舞いには2本、3本と指の本数は増えていく。
啓吾は慣れた手つきで中を掻き回し、ほぐしていった。
「そろそろ...俺も限界、」
ズル、と抜けていく3本の指。
「ぅう゛っ、!!ふっ...ン、ん゛んッ!!」
すぐに穴にあてられる熱く固いもの。それはグッと押しつけられ中を抉るように入ってきた。
ミチミチと肉の拡がる音が体の中でし、きついそこはぴったりと啓吾のものにはりつき感じたくもない、啓吾の性器の脈の動きまで分かってしまう。
「ひっ、あ...っ、う...ぐっ、」
「...ぅ、あ...イキそ...、」
早くなる律動。すでに中に2回も出されていた。
口からタオルはとられ、嫌な喘ぎ声が耳に入ってくる。両手もせっかく自由になったのに、抗うことができず、この律動に堪えるために必死に床に縋りついていた。
啓吾は飽きることなく中を犯し、那智の体中に赤い痕をつけていく。
「あっ、あぅッ!や...ッ、イ、イク...ん、あ、あ゛あっ!!」
「...ッ、」
そして中に3回目の吐精。しかし那智はこれで5回目だった。そのせいでイったというのに先端からは薄くなった、透明色に近いモノばかりが出ていた。
そこに痛覚による苦痛などはなかった。あるのは、度を越した快感による苦痛。
「ま、待って、まだ...あ゛ぅっ、ひ...ッ、ん゛ンっ、」
言った余韻でビクつく腰を休む暇もなく再び犯される。先端が、雁首が、陰茎が、何度も前立腺を擦りあげ、奥の襞の壁をついてくる。
那智が狂ったように叫んでも啓吾は腰の動きを止めようとはせず、パンパンと肉が肉を打つ音が響くばかり。
中を抉るように、内壁を突き上げては雁首で浅い所をにちゅにちゅと卑猥な水音を出しながら激しく出し入れする。
そしてズルリ、と漸く抜け出たかと思えば、仰向けにされ再び性器を後穴に突っ込まれた。
突き抜けるような快感に那智の口からは甲高い喘ぎ声が飛びだした。
足が胸につくほど折り曲げられて、より深く啓吾と繋がった。陰嚢が尻にあたる。しかし啓吾はそれ以上深く繋がろうと、グッグッ、と腰を押し付けてきた。
「...うっ、くる、し...ッ、あぅっ、」
深いところを細かく突かれ、しまりのなくなった口元から垂れている唾液を舐めとられる。
未だ、視界だけは布で覆われ暗闇に包まれていた。口を塞がれ、口内を舌で犯され液体を流し込まれる。
これほど近くに啓吾の存在は感じていた。だが、先程から黙り続けている啓吾の表情を窺うことはできなかった。
「あっ、また...やっ...イク...ッ!!」
腹にかかる、薄まった精液。止まることのない律動。
ついに霞んでいく意識。その時、頬に水の粒が数粒落ちてきた。
その粒の正体を那智は分からなかった。視界を奪われていたせいでそれがただの汗なのか、それとも――――― 涙、だったのか。
だが意識を失う寸前、耳元で紡がれた言葉。それだけはちゃんと頭の中に入ってきた。
「俺が湊に勝てないのは分かってる。だからこれ以上あいつと俺を比べないでくれ、」
啓吾の悲痛なその声音に那智は目を閉じ、そして涙の粒で布を濡らした。
end.
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