▽ 26 〃
ズボンのチャックが下され、高ぶりを出される。腹につきそうなほどに固く反り勃つモノの上に愛都は跨った。そうして...―――― 愛都は香月の昂りを一気に根元まで自身の中に突き挿れた。
「...ッ!」
その瞬間、全身に電流が走ったかのような快感が襲った。
愛都の本性も何もかも、考えられなくなるほどに甘い甘い蜜が香月を包み込む。
「ははははッ!呆気ないな、」
響いたのは愛都の笑い声。
「...嘘だろ、」
「はい、これで終了な」
先程挿れたばかりの肉の中から性器を抜かれ、冷えた空気が触れる。
その先端からは...白い液体がどくどくと流れ出ていた。
「まさか挿れただけでイクとは思わなかった」
離れていく愛都の体。
「ま、待てよ!本当に、こんなんで終わりのつもりかよ、」
「そうだよ。ちゃんと約束しただろ?」
「こんなんじゃ、足んねぇよ...お前のせいだ...お前のせいで俺はこんな体になっちまったんだ。お前だってわかってんだろ!それなのに...っ、」
愛都の中に挿れただけでイッてしまったという事実は香月にとって羞恥でしかない。だが、それを超えるほどの“渇き”があった。
「そんなの、知らないね」
しかし愛都は香月のことを見ることもなく、自身に着いた白濁の後始末をするとそのまま制服を着て、身だしなみを整える。
「挿れさせてくれ...なぁ、挿れさせてくれよ...」
そんな愛都の姿を見て、次には態度を一変し香月は懇願していた。
いつもの強気な威勢も、プライドもすべて捨て、ただただ懇願した。それは、まるで別人のように。
香月は本能で気がついたのだ。宵人のことで愛都が自身に復讐をしていたのなら、性欲の中毒者となり果てた自分はもう、愛都に捨てられるのだ、と。
愛都の計画通り、香月はすでに愛都なしでは生きていけない体になった。
復讐は完了してしまうのだ。
捨てられたら終わり。愛都のことだ、これを機に徹底的に自分から離れていくであろうことは予測がついた。
そうなってしまう前に、香月ができること、それは...――――
「おねがいだ...何でもする。だからまた、抱かせてくれよ」
目の前の愛しい存在に縋りつくことのみだった。
「お前でもちゃんと“お願い”が言えるんだな。すごく必死。そんなに俺が欲しいんだ」
すると愛都は漸く香月に目を向け、近づいてきた。
「さっきも言ったけど、俺だって鬼じゃない。...お前のそんな姿見たらその“お願い”だって聞いてやりたくなるものさ」
「愛都...」
「だから、抱かせてあげてもいいよ。ただし条件付きだけどな」
香月の目の前でしゃがみこみ、愛都はいつになく妖艶に目を細め笑う。香月は期待から口角がわずかに上がった。条件なんていくらでも聞くつもりだった。また抱かせてくれるなら、どんな内容でも...―――
「1回お前がリンチされるごとに、1回ヤらせてやるよ」
その言葉に口角を上げたまま、固まる香月。
希望に膨らんでいた香月の瞳には天使のように朗らかな微笑みを浮かべる愛都の姿が写っていた。
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