▽ 24 香月side ※
「もう...我慢できねぇ...」
愛都に触れない生活をもう何日繰り返しているか。
まるで食料も何もなく砂漠をさまよい歩いているかのような苦しみ。
飢えて飢えて飢えて、理性など欠片しか残っていなかった。
そんな香月が本能のままにとった行動、それは...―――
「香月、くん...やめっ、」
「...るせぇ、少し黙ってろ」
今、香月は愛都を組み敷いていた。人気のない美術室。愛都が1人そこへ向かうのを見た香月は後をつけ、愛都の不意をついて床に押し倒していた。
強い力で抵抗をしてくる愛都だが、上から押さえつけてしまえば逃げることは出来なかった。
暴れる愛都を無視して、綺麗な首筋に舌を這わせ口づける。愛都の匂いが鼻腔に広がり、たちまち香月の下半身は反応を示し始めた。
「ずっと俺のこと避けやがって...気失うまで犯してやるよ」
高ぶる感情。久しぶりの愛都との接触。顔を上げ唇に噛みつくようにキスをすれば、とろけそうなほどに甘い蜜の味がした。
呼吸をするのさえ、惜しいと思ってしまう。味わうように愛都の口腔を犯し、唾液は口の端を伝った。
まさに愛都に夢中だった。だから、香月は気がつかなかった...――― 自分に近づく、静かな足音に。
「愛都に盛ってんじゃねぇよ」
「...ぅぐッ!!」
突如聞こえたのは、唸り声を上げるかのような低い声。そして同時に香月の頭の後部を酷い鈍痛が襲った。
体に力が入らず、愛しい男の上に崩れてしまう。じんわりと伝う、愛都の温かい体温。暗くなり、霞んでいく視界。
「クソ...ッ、」
後ろの気配に気がつかなかった自身を恨むが、時すでに遅し。そうして、何とも呆気なく香月の意識は深い暗闇の中に沈んでいった。
――
――――
――――――
「...ッ、」
ズキズキと痛む頭。体は重だるく、思考がぐにゃりと歪んでいる。目は覚ましたが、頭の中は真っ白だった。
「ひっ、あ、あぁッ、きも...ち、」
だが、叫ぶような喘ぎ声が香月の耳を突き刺し、真っ白な頭の中を犯してきた。
「まな、と...」
それは夢にまで見た愛しい存在の声。反射的に顔を上げた香月の視界に写ったのは...――― 綾西の上に跨り、いやらしく上下に腰を振る愛都の姿。
綾西はズボンを膝まで下げた状態で、愛都はシャツを一枚羽織るだけの姿。その美しい肢体を惜し気もなく曝け出していた。
「...っ、ざけんな!!クソ野郎!愛都に触ってんじゃねぇ!!」
一瞬にして香月は般若のような顔になり、怒鳴り散らすが2人はそんな香月を気にすることもなく、行為の激しさを増していく。
そんな2人に苛立ちは止まることなく溢れ出し、今すぐにでも殴りに行こうと体に力を入れる...だがしかし、なぜだか体はピクリとも動かなかった。
どんなに頑張っても、指先が僅かに動くだけ。
「薬...盛りやがったな、」
ただ頭を殴られただけで体の自由が奪われるわけがない。きっと気絶している間に薬を盛られたのだ、と思った。
目の前で犯される愛都。
何もできない自分。
何もせずに、ただただ愛都を見上げる綾西。
生々しい、結合部と水音。
「クソ...クソクソクソッ!!」
...――― 香月の性器は興奮しきり、ズボンの中で痛いほどに張りつめていた。
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