▽ 10※
夕食も終わり、沙原に捕まらないよう俺と綾西は早々と部屋に戻った。
待ち合わせ時間は夜の10時。思惑通りにいきすぎて笑いそうになった。
テレビをつけ、ソファに座るが頭の中は先程の香月とのやり取りばかりが占めていた。
ちょっとウブなフリをしてやれば分かりやすいほど俺に発情していた。あの様子だと夜に会ったら何をされるかぐらい、簡単に予想できた。
だから俺はここに戻るまでの間にそのことを綾西に伝えたのだが...
それを聞いた時から当然のことながら、ただでさえ悪かった綾西の機嫌はさらに悪化した。
「...狭い」
ずっと黙ったままの綾西はむくれた顔のままソファの上で愛都を抱きしめてくる。
その狭さが嫌で離れようと立ち上がれば強い力で引き戻され、今度は膝の上に座らされた。
ふてくされてる癖にひっついてこようとする綾西への対応は非常に面倒くさい。
フォローする気も、慰める気もなかった愛都は変に抵抗することもなくその状態のままテレビを見続けた。
そうして約束の時間が近づいた時、愛都はロビーに行くために立ち上がろうとした。
「 離せ 」
しかし綾西は拘束する手を緩めようとはせず、肩に顔を埋めたまま動こうとはしない。
「俺の言うことが聞けないのか」
「......嫌。」
いつになく強情なのはこれから香月とすることが何なのか分かっているからだろう。
だがそんな独占欲も愛都にとっては邪魔なだけだった。早くしないと待ち合わせの時間になってしまう。
「 綾西 」
そう、強い口調で名前を呼べば、ついに綾西は肩をビクつかせて拘束する手の力を緩めた。
緩まっている拘束を手で払い後ろから聞こえる、鼻をすする音を無視して立ち上がると、玄関へと向かった。
悔しさと悲しみで涙を流す綾西の姿は容易に想像できた。
本当は行かせたくない。けれど捨てられるのが怖くて強くものを言えない。
綾西が何を考えているのかも、手に取るように分かる。
「まな、と...っ、」
「お前の傷ついた姿は悪くないな」
気まぐれに綾西の元へと戻り、ソファの背もたれの方から手を伸ばすと顎に手を添えて上を向かせる。
そしてぺロ、と流れる涙を舐めとり薄く開いていた綾西の唇を啄ばんだ。
「香月の件で俺はあと何回この顔を見ることができるんだろうな」
見開く瞳。
俺を一心に見つめる瞳。
そうして微笑んでやれば綾西はまた一粒の涙をその瞳から零れさせた。
約束の時間よりも少し早く待ち合わせの場所にたどりつき、待つこと十数分。
遅れたことに対して悪びれた様子も見せないで、香月は愛都の前にやってきた。
「よかった...来てくれないかと思ったよ。」
微笑み、駆けよればその態度に満足しているのか口角を上げる目の前の男。
そして何も言わずに愛都の手を掴み、どこかへと歩き出す目の前の男に心の中で毒づく。
相変わらずの自分勝手振りにも表向きには平然を装って堪えているが、もし何も媚びる状態がなければ絶対に近づきたくないタイプの男だな、と改めて考えさせられた。
「香月君、どこに行くの?暗いし、あんまり奥に行ったら危ないよ」
ロビーから外に出て数分。愛都を連れて香月は夜道を歩き続ける。
― 人気の少ない夜道を手なんか繋いで散歩だなんて気持ち悪い。さっさとヤることだけヤって済ませてしまえばいいものを。
愛都の問いに応えることのない男に大人しくついては行くが気を抜けばため息が出そうだった。
しかし、それから数分後
「ぅ...ふく...っ、ん、ん゛...っ、」
愛都は膝立ちをして香月のものを口腔で慰めていた。
木に背をあずけ、愛都の頭に手を添える香月は息を荒げる。
やはり目的はこれであった。急に道にそれて木陰に来た途端、香月はフェラするよう指示してきた。
口におさまりきらない部分は手で扱き、舌で裏筋を舐め上げる。わざと音を立てて先端を吸えば、先程よりも大量の先走りが口内を満たし、溢れては口の端を伝って地面に垂れた。
その間、もう片方の空いていた手で自分の後腔をほぐす。ローションなどはあらかじめ持ってきていた。指示するまでもなく自らの穴をほぐす愛都の姿に香月は目を細め、フッと笑った。
そうして3本の指が穴に入った頃、香月はフェラを止めさせると愛都の手を掴みあげて立たせてきた。
「木に手、つけろ」
言われるまま手をつければ、緩まっていたズボンと下着を下げられ、それは足首で止まる。
「...っ、あっ...香月、くん...」
割り開かれ、外気があたり穴の中がひくつく。しかしすぐにそこには熱く濡れた固いモノがあてがわれる。
「ん゛んっ、あ...あ゛あぁぁっ!!」
「はっ...ヒクついてる。なぁ、どうだ。久しぶりの俺のものは、」
後ろから一気に貫かれ、尻にあたる香月の腰。内臓がせり上がり、中を香月の性器が満たす感覚は気持が悪かったが慣れた体は喜び、性器を締め上げる。
「ひっ、あっあぁ...っ、ぅく...っ、」
慣れるのを待つことなく香月は腰を動かし、ギリギリまで出しては深く奥まで擦りあげる。
わざとやっているのか、擦りあげられるたびに前立腺が先端で押しつぶされ、愛都の口からはひっきりなしに喘ぎ声が溢れだした。
ゆるく勃ちあがっている自身を握り上下に擦りあげる。そうすれば余計に後ろは強く性器を締め付け、香月は耳元で堪えられないといった様子で息を零した。
中で大きさは増し、ミチミチと肉は広げられる。律動が激しくなれば水音も増し、漏れる液体は太股を伝い、汚した。
「あっ、あぅ...う゛ぅ、イ...イク...んっ、あ、ああぁっ、!」
「くっ、ぅ...っ、」
自身から吐精されたものは木にかかり、それとほぼ同時に中に熱いものを吐き出された。
ぐっ、ぐ、と奥に出し切るようにして腰を押し付けられる。そしてズルリと抜けだされた時、愛都は足が震え地面にへたり込んだ。
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