▽ 24
「少し、1人にさせてくれ」
そう言えば綾西は寂しげな瞳で愛都を見つめつつ部屋を出て行った。パタリと扉が閉まると閑散とした静けさが愛都を包み込む。
そんな愛都の目の周りは酷い隈で覆われていた。瞼を閉じても訪れることのない睡魔。体は重く食欲もわかない。
里乃を失ってからというもの、愛都は不眠の日々を過ごしてきていた。
「あとは叶江だけ。そうしたら宵人は元に戻るんだ。また2人で過ごせる...今度こそ俺が守ってやらないと」
すでに愛都の心身は常軌を逸し、壊れていた。不眠も相まってまともな思考力を保てるわけもなく、冷静なんて言葉は微塵も当てはまらない。
今が何時なのかもわからないまま、愛都は1人ブツブツと独り言を続ける。
― そんな時だった。キィ...と嫌な音を出し扉が開けられたのは。
「ただいま」
声のする方をみる。暗闇の中でもわかったのは悪魔の笑み。それを認識するのと同時にバットが愛都の頭を直撃した。
体は横に投げ出され、何が何だかわからぬまま痛みに喚いた。
部屋の電気がつけられ、まぶしさに目をつぶる。ポタリ、と頬に何かが垂れた。うっすらと瞼を開ければ自分に跨って立つ沙原の姿が見えた。
ポタリ、ポタリ、沙原の股からは赤黒い液体が落ちてくる。
「どけ...ろ、う゛ぐっ、」
再び愛都にバットが降り降ろされそれは鳩尾に当たる。空っぽの胃は悲鳴を上げ胃液がせりあがり床に吐き出した。
「ほーら、愛都君も服を脱ぐんだよ。恥ずかしがらないで」
苦しさで呻く愛都を無視して沙原は服を脱がしていく。弱った愛都はまともな抵抗もできずされるがまま。
頭がついていかなかった。どうして沙原がここに。どうして俺は抵抗ができないのか。あの華奢な腕一つ止めることができなかった。
裸にされた愛都は震える体を守るように蹲る。
「何丸くなってるの。はい、顔上げて、愛都君の大好きな、僕のおちんちんだよ」
前髪をガっと掴まれ口の中ににわかに硬くなった肉棒が突っ込まれる。
「ふっ、う、ん゛んっ、ぅ...あ゛あ゛、う゛ッ、」
「あぁ、愛都君の口の中、すごく気持ちがいい、堪らないよ」
ガツガツと腰を振られ喉元まで犯される。グンと熱くそして硬くなる性器を噛み切る余力もなく愛都の瞳は息苦しさで涙が滲んでいった。
「これで愛都君のお尻も突いてあげるから。たくさん...たくさん、僕が愛都君を満足させてあげる」
征服欲にまみれた沙原の目に、愛都の苦しみが映ることはなかった。
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