▽ 23※沙原side
殴られた。
蹴られた。
犯された。
タラタラと僕の股から何かが垂れ流れる。それは赤かったり白かったり。
目からも、鼻からも、口からも、穴という穴からはもう何なのかわからない液体が流れ全身を汚す。
誰かもわからない男が自分に覆い被さり犬のように腰を振る。これで何人目になるのか。
― あぁ、あぁ、愛都君のための僕のお尻が壊れちゃう
しかし両手は縛られ抵抗一つできない。そうしてる間に腰を振っていた男の動きが止まり、急に抜かれたかと思えば顔に何か生暖かいものをかけられた。
白く、生臭い。次いで黄色い鼻につく液体がジョロロと沙原の顔にかかった。
目に入り激痛が走る。その痛みに耐えられず叫べば口内に大量に入り反射的に飲み込んでしまう。強烈な吐き気が襲いそのまま胃から逆流してきたものを勢いよく吐き出した。
「う...う゛くっ、ぐげぇっ、ぇ」
「あーあ。みんなの天使もこうなっちゃえばただの汚物だな」
「ほーら、天使ちゃん自分で汚したんだからちゃんと片付けもしようね」
片手にビデオを持っていた男は沙原の髪の毛を掴むと吐瀉物で汚れた床に顔を擦りつけさせた。
力強く擦り付けられ鼻に汚物が入る。口にも入り髪の毛にもべとべとになるほどにつけられる。
耳に笑い声が響き渡り、そうして沙原は白目を剥いた。
――
――――
―――――――
次に沙原の意識が戻った時、そこに先程までいたはずの男たちの姿はなかった。
汚物にまみれたまま捨てられていた自身から悪臭が放たれ、それは部屋中に満ちていた。
「このままじゃ、愛都君にもっと嫌われちゃう」
軋む体に鞭を打ち、立ち上がると洗面所に向かい頭から水を被った。
床が濡れるのも気にせず蛇口を引っ張り体にも水をかける。そうすれば汚物は流れ落ちたが、股からは点々と赤い液体が落ち続ける。
「...」
ふと顔を上げれば頬を腫らし真っ赤に充血した目をした男が鏡に写る。
汚い体に醜い顔。まさか自分がこんな目にあうとは思いもしなかった。とうとう愛都は全てを知ってしまった。
部屋の中を歩き回るが服はどこにもなかった。あるのは卑猥な形をしたおもちゃとバットだけ。
沙原は落ちてたバットを拾うと裸のまま部屋を出た。
今がいつなのかは分からなかったが窓から見える景色は暗く、唯一あるのは窓からのぞく月の光のみ。
ポタポタと沙原が歩いた後に続く赤い斑点。ヘンゼルとグレーテルのように、暗闇を歩いていく沙原の足取りは段々と軽くなっていく。
そうして輝く扉に手をかけ中に入った。
「ただいま」
笑顔でそういえば中にいた愛しい人は目を真ん丸にさせた。その姿を確認し、有無を言わせる間もなく沙原は手に持っていたバットを頭めがけて横に大きく振りかぶった。
ガツ、と肉を殴打する生々しい感覚と鈍い音に沙原は快感し身震いした。
「僕のお尻壊れちゃったみたい。でも安心して、僕は男の子だから他の方法でも愛してあげられるよ」
横たわり呻く、愛しい、愛しい、愛しい...
「 愛都君 」
prev|
next