▽ 7※
「ち、違...ッ、」
細く、白い指が穂波の胸元をなぞる。...特に赤く色づいている痕を。
それは日向につけられたものであって、二葉の言う門の前にいた人...松高につけられたものではなかった。
すぐに否定をする穂波だったが、そこで“これは日向につけられたものだ”とも言うことができず、続く言葉は飲み込んでしまう。
「ねぇ、セックスはした?その人のことも抱いたの?ねぇ...ねぇねぇねぇ、答えてよ」
「...ッ、いい加減にしろ!!お前は一体...俺を、何だと思ってるんだよ!」
何も考えずに穂波は叫ぶ。手足の自由を奪われた今、できることはそれしかなかった。
それにたいして二葉は「えー?」と首をかしげ、可笑しそうに笑った。
「 穂波は、僕だけのお人形だよ 」
「...は?にん、ぎょうって...」
「穂波は僕のことを小さい時から守って、可愛がって、愛してくれた、大好きなお人形。その顔も、その声も、その体も全部...全部全部全部僕のものだよ。穂波はすごく綺麗。他の人達とは違う。見てるだけでゾクゾクする」
「...ッ、」
首に顔を埋められ丹念に舐められる。耳元で聞こえるその水音。その音に神経は集中されてしまっていて穂波は気がつかなかった。
下半身から聞こえる、ジッパーを下ろす音に...
「...ッ!!い、嫌だっ、やめろ!!」
二葉が首元から離れ、穂波の体の上から移動し、足の間に入って来た。その瞬間、穿いていたズボンを下着とともに一気に膝下まで下げられた。
驚き暴れるが、それをも利用して二葉は上手く右足をもち上げストン、と脱がし切ってしまった。
「俺は、こんなことをするために来たんじゃ...」
左足首に残る衣服。穂波の下半身はさらけ出され、二葉はそれを見下ろした。
「ぅぐ...ッ!!くっ...」
「あぁ...これは、予想外だなー、」
華奢なその腕のどこにそんな力があるのだろうか、と思わせるほどの強い力で、太股を掴まれ体を九の字に曲げられた。
そして普段見えることのない、尻のつぼみに顔を近づけられ舌で抉るように舐められる。
「穂波が、抱かれる側だったんだ」
日向との行為で切れ、赤く腫れたそこを二葉は躊躇することなく、何度も何度も舐めてきた。
そのせいで穂波の顔は青くなったり、赤くなったりを繰り返していた。
「ぁあ...っ、んん...ッ、」
抉るように強く舌で刺激してきては、優しくなぞるように舌の先端で弄られる。つい先日、そこを使った性行為をしてしまっていたために、ピリリとした痛みの他にも甘い快感が腰に駆け巡る。中がひくつけば、二葉の舌はずるり、と中に入り唾液を流しながら抜き差しをし始めた。
― いや、だ..嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ...ッ!!
何も考えることができず、ただただ激しい拒絶の声ばかりが頭に響き、舐められているそこへ感覚が集中する。
中の襞は蠢き、その熱い舌で擦られればもっと、というばかりに意思に反して奥へ奥へと舌を誘導する。
「...あっ、はっ...ぁ、う゛、」
ぴちゃぴちゃと水音が響き、耳からも犯される。
ついには舌の他にも指を入れられたのか、先程よりも穴を広げられ奥深くを擦られた。
徐々に頭の中は真っ白になり、冷静な判断ができなくなる。恐怖と快感で思考は停止し、浅い呼吸が繰り返された。
「...ッ!!」
「絶対に...許さない。穂波は僕だけのものだ...ッ、」
「いや...だっ、やめ...やめろ...ッ!!あ゛ああ゛っ、うあああぁぁッ!!」
だがしかし、尻の穴に熱く固いものが触れた時、激しいほどの“拒絶”の感情が一気に真っ白だった頭の中を埋め尽くした。
そのせいか、いつもの態度からは窺い見ることがないほどの叫び声が穂波の口から発せられる。
二葉のことを蹴りあげようと足に力を入れるが、膝裏を掴まれM字に広げられたそこは自由が利かない。
ぐッ、と少しずつ力を加えられ、中に入ってこようとする熱い性器に、堪らず穂波は無駄だとわかりながらも暴れ、何度も肩や頭部をフローリングの床にぶつけた。
「いやだああぁぁぁッ!!!」
「...ッ、ぁ...きつ...ッ、」
抵抗も虚しくカリの部分をうめこまれ、休む間もなく尻たぶに二葉の腰が触れ合うほど奥に突き挿れられた。
その時、ちょうど前立腺を強く擦られ、心と反して下半身は反応を見せかける。そんな自分にも嫌悪を感じた。
自分よりも幼く、体格華奢で、女のような目の前の人間に犯されるというこの現実は受け入れ難く、考えたこともない出来事だった。
心のそこから嫌悪し、恐怖する存在に女のように扱われる。激しい吐き気が催され、息が詰まった。
「他の奴のことなんか見ないように、今度はもっとちゃんと支配してあげるからね?...僕だけを見て、僕だけを考えるように、さ」
頬を上気させ、恍惚とした笑みを浮かべる二葉は、そう呟きそして激しく嫌がる穂波を無視して、熱いその中で性器を律動させ始めた。
部屋に響くのは、穂波の叫び声と肉が肉を打つ乾いた音。
重なり、一定のリズムで動くその2つの影を、隠されている無機質な機械はただただ何も言わずに映し続けた。
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