身代わり?いいえ私自身です ※病んでる クダリが死んでる 心の中では、分かっているのにね クダリは本当に笑顔だ きっと使う写真にも困っただろうな、いつもカメラにピース向けるような人だから なのにこの写真は笑っていなければ目線も合っていない 「……まるでクダリみたいね」 「勝手に人を殺さないでくださいまし」 カツカツと革靴を鳴らしながら歩いてくる 口調からしてノボリだと分かった。なのに 「どうして…!」 白、白、白 彼の身につつむ物は白ばかり。もちろんそれは全てクダリの物だった 口元だけが、ノボリ すぐに目を背けた。どうかしてる、どうかしてる 「あなたどうかしてる」 「わたくしからしたらあなたの方が、です」 意味分からないよ。だって死んだ人と同じ顔、同じ服。"恋人"を無くした私の前にその姿で現れるあなたの神経は、どうかしてるもの ノボリはゆっくりゆっくりと私に近付いて、手袋をした手で私の頬に触れる。釣られて私も手を重ねた 「泣かないのですか?」 ノボリに言われて初めて分かった 私、一度も涙流してない 悲し過ぎて放心状態?いいや違う。悲しくない訳でもない。だって恋人が、好きな人が、すぐそこで冷たくなっている すぐ、そこ、で 「……クダリ」 「なんです?名前」 クダリと同じ顔が、ここにあった 声も口調もノボリなのに ノボリはゆっくりと口角を上げる。そこに"彼"は居た 「お帰り、クダリ」 ------------ クダ主←ノボリ なのだろうか |