職員室の前の廊下には、落とし物ボックスが設置されていたらしい。
あまりそっちに行くことは無かったため、中学生活二年目にして初めて知った。
二段棚になったそれには、誰かが落としたのであろう物が、チラホラと入っていた。案外使われてるようだ。

「こんなとこにあったのか」
「ん?ああ、落とし物ボックスか。半田知らなかったのか?」
「だって俺職員室なんて来ねーもん」
「半田ってば地味に良い子ちゃんアピール?やーらし」
「風丸にならともかくマックスにアピールしたってなんもならないだろうが」

それもそうだー、なんてケラケラ笑う。コイツっていつも楽しそうだなー。

「そういや半田、この前自転車の鍵なくしたって言ってなかったか?」
「あーそういえばそうだったかも」
「確かここのひと月で交換だったよね。なくしたのいつ?」
「まだ5日もたってねーよ。と、あったあった」

あまり物が入っていなかったお陰で、直ぐに見付かった。
そのまま扉を開けて取り出す。

「よかったな」
「マジ助かったー。そういやさ、なんか提出用に配られたプリント入ってたぜ。科学のやつ」
「それって全体の締め切り昨日じゃん。名前とか書いてないのー?って字汚い」
「…」
「こりゃ読めねーな、風丸?」
「あんの馬鹿…」

プリントを拾い上げ、ワナワナと震える。よくわからないが、なんとなく風丸が怒っていることは理解できた。

「風丸どうしたんだよ」

取りあえず現状理解が先だろうと尋ねてみるが、。

「っの、バッカ円堂ぉぉ!」

疾風ダッシュばりの走りを見せ、一気に姿が見えなくなった。
が、先ほどの一言でなんとなく理解できた。

「あれ、円堂のなんだね」
「忘れたら課題二倍じゃなかったか?」
「まあ風丸がなんとかすんだろ」
「そうだねー」

今頃風丸に頭ごなしに説教されているであろう円堂に、ほんの少しの同情を寄せつつ、先にマックスと教室へと歩き始めた。
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