例えば、日常のふっとした瞬間。

写真で切り取られたかのようなとびっきりの笑顔を自分に向けられると、ああ今自分は生きてるのだろうかと疑問に思う。


そう言うと、決まって俺をぎゅうっと抱き締めてくる。
もう何十回何百回も繰り返したやり取り。

「風丸」

なんだよ、苦しいよ、

「風丸風丸風丸風丸…」


痛いよ苦しいよ離して、円堂。
そんな顔を見せないでよ。心が窮屈になってくよ。


「俺が、お前を守るから…俺が助けるから、風丸」


お前に何から守れんだよ。
お前に何から助けるんだよ。

どうして、お前は「風丸」



「どう、し…て?」


守れもしない約束をするんだよ。

無責任過ぎるんだよお前は。
いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも…


お前はバカだよ、円堂。

でも一番バカなのは、それを期待してしまう俺なのかもしれない。





(揺れ動く瞳に映ったのは、果たして幸福か絶望か)


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