狂気を孕む愛故に(?)


緩く自分の首を絞める。締める。閉める。
ゆっくりと息をする。少し苦しいけど、息は出来る。
吸ったり吐いたりを繰り返すたび、苦しさが増していく。
少しだけ力をこめれば、脳に酸素が行ってないのか、軽い頭痛が起きる。
意味なんてない。楽しいわけじゃない。
―それでもこの行為を止められない。

「もしかして、自虐趣味?虐められたい人?」

違う。
他人にやられたってイライラするだけだ。

「自分自身に対してSっ気があるのかな?でも楽しくないんだったな。面倒だね。もしかして切ったりとかもしてるの?」

痛いのは嫌いだ。

「痛いのは嫌で苦しいのが好いか。違いがわからないな」

わからなくていい。わかって貰おうなんて最初から思ってないし。

「ならなんで私に言ったんだ」


一呼吸置く。
この部屋の中には、二人だけだ。
他には誰もいない。誰も。
だからたったひとつ自分に向けられる視線、真っ直ぐに見つめてくる彼を、自分も真っ直ぐに返す。
その琥珀に映るのは、白黒の自分。その中には様々な感情が混ざり合い、己では判断がつけられない程複雑だ。
そもそも普段から他人の感情など読み取れないのだが。

「別にいいけれどね。アレコレ口出しするつもりはないよ。そう言うのは人それぞれ、否定も肯定も出来ない」
「でも引いたんじゃないか?」
「正直」

クスリと笑う彼は、何故だかいつもと違って見えて、ああ何故だろう、憎い。

「キスしてやろうか?」

そんな突飛な発言。
普段なら受け流せるのに、今日に限っては難しいらしい。

「そうやって首を締めるのなら、いっそ私の唇でお前の息を塞いであげる」

返事する間もなくぴたりと合わさった唇と唇。
いつもと違う息苦しさ。
苦しい。苦しいのに歓喜に満ちた心。
歓喜?
そんな馬鹿な。



つまりアナタもワタシも狂っているの







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誰と誰の組み合わせなのかはご自身で決めちゃってください



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