がくりと頭を垂れて意識を失っている人形みたいな彼女を見て、ああ君という女は黙っていれば幸せになれただろうに!と叫びたい衝動に駆られた。普段と比べると今の彼女は随分おとなしく沈黙していて、淑やかでまるでどこもおかしくない普通のただの美しい、暴力を振るわれた女性みたいだった。殴られたのか少し頬が腫れていて、唇の端が切れていた。体には服の上から荒い縄がきつく何重にも巻きついている。白くて細い手首は縄にひどく擦り切れていて表面に赤い血がにじんでいた。手首以外の見えない場所にもしばらく赤い痣が残るだろうが、時間が経てば消えるだろう。ずっと消えなかったらいいのになあ。そしたら素肌の上からそれをなぞって反応を楽しむことができるのに、と俺は思った。そうだ、彼女を連れて帰ったらしばらくこのまま生活させてみよう。痣が体に染み付いて消えなくなるぐらいずっと長く。我ながらいいアイデアだ。はたして彼女はそんな醜い体を、弟に見せることができるだろうか?
小さな呻き声と物音が聞こえて、俺はようやく自分の足元に人が倒れていることを思い出した。あは、まだ苦しいんだ。可哀想にねえ。楽にしてあげよう。そう言って俺は足元に転がる誘拐犯の頭の上に足を乗せて  そして


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