ぎゅう、と強く、でも壊さないように加減はして優しく、私は抱きしめられた。おまえ、あったけえなあ、と顔の横で声がする。静雄さんもあったかいです、と私は返した。それにすごく安心する。大きな肩にこてんと頭を乗せると、大きな掌にわしわしと頭を撫でられる。自然と涙腺が緩み出す。私はぼろぼろと涙をこぼした。彼の服が私の涙でどんどん濡れていった。ねえ静雄さん。私そんなに褒められた人間じゃないんです。私は寄生虫で、異端で、嫌われ者で、どうしようもない女なんです。それでもいいんですか。本当にいいんですか。そう言って暖かい体に縋り付いた。私は、恋をしてもいいんですか。彼の指が私の涙を拭う。ばーか。こういうのはな、キスしたいとか抱きたいとか思ったら、それで充分なんだよ。そうですね。そうですよね。うれしくて私はまた泣いた。私たちは全然普通じゃなかったけど、確かに幸せだった。


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