懐胎アフター | ナノ

かいたいされたかえるのゆきさき(2604)
 
ハミング交響楽団の『懐胎されたかえるの噺』のアフターストーリーを書かせて頂きました!!内容がちょっとどころではないくらいおかしいです^^;軽くカニバ表現ありますがそれでもよろしければどうぞ。


「解体されたかえるの行き先はどこやと思う?」

ふと思いついた疑問を、忍足は目の前の恋人に投げかける。すでにナイフとフォークを置いた忍足は、食事よりも会話を優先したらしくそっと自身の指を絡ませた。

「…どこって?」
「ほら、豚とか牛とか鶏とかはさ、焼き肉屋に行って人間に捕食されるやろ?でもかえるは違うやん。食べれへんやん。そんなもの、いらへんやんなぁ?」

忍足の目はどこかうつろで濁っている。それに気付いた忍足の恋人、慈郎はフォークに刺した肉を頬張りながら淡々と答えた。

「…世界には、かえるを食べる国だってあるよ」

だから別に食べれないわけじゃないよ。ちらりと慈郎が忍足の方を覗き見れば、忍足は全くぴくりとも動いていなかった。動けないんだろうか、虚を突かれて。
慈郎はそんな忍足に畳み掛けるように、未だ口内に肉が残っているというのに言葉を続ける。

「どれだけ見た目が気持ち悪くたって、食べれないわけじゃないしね。いいよ。ゆうちゃんが望むなら、おれが食べてあげる」

何を食べるかはあえて言わなかった。それは忍足の想像次第だ。かえるのことを実際はどう思っているのか。慈郎は何となく気付いていたけれど、あえてそれを口にすることはしなかった。



―どろどろでぐちゃぐちゃな、見るも無残な君の亡骸だって何だって、おれはそれが『ゆうちゃん』であるのなら、ゆうちゃんがそれを望むというのなら、幾らでも美味しく頂けるよ。



(例えば真っ白な紙に一滴、色を落としてしまったら。それだけでもうこの紙は、白ではなくなってしまうのだろう。俺が彼に施したのはつまりそういうことで、彼は俺の為ならば、何をするのも厭わなくなってしまった。俺が望むなら、もう何だって許容してしまうのだろうか。)



→こんなんを葱子さんに押し付けたんだなぁと今更になって後悔しております…。いや、でももう送っちゃったんだし仕方ないよね!!忍足の『後悔』が色濃く残る話となりました。これ何も知らない第三者が聞いてたら吐きそうだな、と自分で書いたくせに思いました。


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