幾らでも差し上げるよ
ゆうちゃんゆうちゃんと舌っ足らずな口調で呼ばれるのは嫌いではない。寧ろ可愛いのでもっとやって欲しい。ほんわかと心が癒されるから。
「ねぇゆうちゃん、ちゅーしよ?」
ただ異様にスキンシップと称してのボディータッチが多い。今までもそうだったのだろうか。それはちょっと複雑である。挨拶の代わりにバードキスとか、やりそうで怖い。
「、じろちゃんたんま、」
「えーなんで?」
ぐるぐると考えている間に、だいぶ距離が近付いていた。唇が触れるまで数センチ。思わず手で相手の口を封じた。
「むぅ…」
「油断も隙もあったもんやないなぁ…」
「むー!むー!」
「ちょっと待っとって。…はぁ、」
こうなった彼を止める術は一つしか知らない。ならばもう腹を括るより他にないのだが、生憎頭の良い俺の頭はうだうだと思考してしまう。不毛だと何度思えば気が済むのだろう。相手は確実に何も考えてはいないのに。
「ゆーうーちゃん、」
べりっと簡単に、彼が俺の手を退ける。案外力あるなぁと思うより前に、がばっと押し倒されて上から乗っかられた。どうやら我慢の限界のようである。(短すぎるやろ、流石に…)
「すき」
「…じろちゃん、」
「すきすきだいすき。だから、ね?」
するりと服の下に滑り込んだ子供体温が、ゆっくりと腹を撫でる。朝から元気やねぇと言ったら、彼は一体何と言うのだろう。きっといつものはにかんだ笑みを浮かべるだけなのだろう。もう昼だよ、なんて返事を期待してはいけないことはよく知っている。
「ゆうちゃんが欲しいなぁ…」
ぺろりと出した赤い舌がどれだけ官能的なのかを、彼は知っているのだろうか。舐めたことでやや湿りを帯びた唇に、彼の後頭部に置いた手を引き寄せてそっと口付けた。
→白じろは可愛い。