短編 | ナノ

再度帰省しちゃいました。

やっぱり今年も侑士の大阪帰省にべったりくっついてきた慈郎は、ちっちゃい侑士の親戚達ときゃっきゃうふふ遊んでいた。どうやら精神年齢が一緒らしい。侑士はそんな慈郎と子供たちを見つめながら、ふふ、と表情を綻ばせた。可愛いは正義。名言である。

お盆休みと言うのは良いものだ。子供たちの楽しそうな表情が間近で見られる。案外子供が嫌いではない侑士は、きゃっきゃ言いながら遊ぶ子供の姿を凝視している。微動だにしない。勿論その中には、自身の恋人でもある慈郎の姿もちゃんとある。あの純度100%の金髪は忍足家に混ざるとより存在が強調されるので分かりやすくなる。探すの便利でええなぁ、あの頭。従兄弟も一応金髪だが、あれはニセモノなので全く別のものだ。比べるに値しない。

「おーいユーシ、連れの子って今日うちに泊まるんやろ?替えの服とか持ってきとるんか?」
「…あぁ謙也か。ん、持っとると思うけど…なかったら俺の服着せるからええよ」
「ほっか…あ、あとな…」

さっきからうろちょろしとるなぁと思ってはいたが、多分手持ち無沙汰なのだろう。子供を慈郎に取られ、母親連中のところに行くのも癪で、男連中は今ぐらいの時間ならすでに酔いが回って手がつけられない頃合いだろうから、謙也には居場所がない。(ちなみに俺は子供のお守りである。慈郎のおかげで見張りに変わっているが)相手をしてやる必要があるのだろうか。でも面と向かって話すと喧嘩になるからあまり相手したくない。あと面倒臭い。

「…謙也、暇ならたこ焼きでも作って子供たちに配り。『三時のおやつやよ〜』とか言えば食うんちゃう?」
「ん、そうやな、…でもたこ焼きばっかやで?飽きられへんか?」
「ごちゃごちゃ言わんと作ってきぃや。どうせ暇なんやろ?」
「べ、別に暇な訳やないで!?俺かて医学の勉強とか色々…」
「ならたこ焼き作りながら医学の勉強しぃ。おやつも勉強も出来て一石二鳥やろ」
「確かにそうやけど何か言葉に棘あらへんか…?」
「気のせいやろ気のせい」
「そうやな、気のせい気のせい…ってんな訳ないやろ!!俺には分かんねんでユーシ!」
「…面倒臭いやっちゃなぁ…」

そろそろ本気で面倒になってきた。どうしよかなと思っていたら、ひょこひょこと慈郎がこっちに来た。もしかして嫉妬したん?なんて聞いてもきょとんとするだけなんやろうな。後ろからぞろぞろ子供引き連れてくるもんだから、何だかちょっと笑いそうになった。「ゆうちゃん、」と名前を呼んで、ひょこんと膝の上に至極当たり前のように座る。いや別にそこ自分の特等席とかやないんやけどな。まぁええけども。

「ゆうちゃんどうしたのー?」
「あーじろちゃん、何でもあらへんよー」
「そう?じゃあいいけどー」

構ってと言いたげに抱きついてくる慈郎。今俺椅子に座っとるんやけど、自分は気にもとめんのね。文句は言わんけど。

「ねぇゆうちゃんかまって〜」
「しゃあないなぁじろちゃんは…じゃ、謙也。自分は子供たちと一緒にたこ焼き作り。子守も出来て一石二鳥、いや、三鳥か?」
「子守しながら勉強なんか出来るかい!」
「はいはいはよう準備せぇやスピードスター」

子供たちが「ふたりってらぶらぶなん?」「付き合っとるのー?」とがやがやし始めとるのは軽く無視をしておいた。







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