短編 | ナノ

僕には見えない君の世界

紙の上に書かれた数字。2,0と1,5。たった0,5の差でも、見る世界は全然違う。夜の空に広がるたくさんの星が、おれとゆうちゃんでは見える数が異なるように。


そういえばあとべもゆうちゃんと同じ2,0だったはずだ。まぁあとべには『いんさいと』があるから、ゆうちゃんと同じように空を仰いでも同じ数の星が見える訳じゃないんだけど。それでも良いなぁって思う。おれには埋められない0,5の差を、あとべは埋められるから。もしかしたら同じものが、見られるかもしれないから。

…って感じのことをゆうちゃんに言ったら、ゆうちゃんは「ええやん」って言った。おれが何で?って聞いたら、ゆうちゃんは本に目線を向けたままでさらり流れるように。


「おんなじものが見えても面白くないやん?違う人間なんやから、違うもの見て互いに情報を交換した方がええやん。そっちの方が楽しいやろう?」


そう言ったゆうちゃんの顔は晴れやかで、ゆっくりと目線をおれに向けたゆうちゃんはにっこり笑った。おれも思わずにっこりした。そうだね。だっておんなじものが見えないからこそ、おれたちは自分自身の感じた事を相手に伝えようとするんだし、聞きたいって思うんだよね。同じものが見れたら、確かにつまんないかも。おれには見えない星たちは、ゆうちゃんが色とか大きさとか教えてくれる。それでいいかもね。代わりにおれはゆうちゃんには見えないものを見つけて、ゆうちゃんに教えよう。淡々と過ごすだけの日常の中にも、たっくさんの発見があふれてるんだから。



→後半迷子ですが、書きたかったのは『同じ世界が見れない二人の話』です。加筆修正して本にしようかなと考えてる位には結構色々考えてたはずなんですが、うまくまとまりません…。再チャレンジしたい…かも。







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