短編 | ナノ

悔いの無い人生を

もしも明日、世界が終わってしまうなら。俺は忍足と同じベッドで寝ることにするよ。忍足の匂いのするシーツに身を委ねて、忍足の体温を肌で感じて、忍足の寝顔を最後に見て寝るの。終末が訪れるまで待ってなんかやらない。俺は忍足と一緒に、さっさと夢の世界へ旅立つんだ。ちゃんと、互いの手をしっかりと握ってね。

忍足にそう言ったら、「俺寝れんかもしれんわ」って言われた。でも大丈夫だって。人間は足が温かくなると眠くなるって前にテレビでやってたからさ、俺が忍足の足温めてやるよ。あと、俺眠い時すごく身体温かくなるから、きっと良い按摩の役割を果たしてくれると思うんだよね。忍足って見た目から寒そうな色してるもんな。寒かったら言えよ、温めてやるから。

非現実な妄想だと、忍足は言うかもしれないと思った。馬鹿な話だと、俺は考えながら思っていたから。でも忍足はそんなこと一切言わなくて、いつものようなおっとりした雰囲気を纏ってやんわりと微笑んだ。「そんな世界の終末やったら、さぞ幸せなんやろうね」って言ってた。焦がれるような声音で、しかしながら幸福を感じているような。つまり忍足は、世界の終末に俺と二人っきりでも良いんだなって、俺はほっと胸を撫で下ろした。








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