短編 | ナノ

お願い気付いて

ゆうちゃんは、おれの目からこぼれるなみだがキレイだって言う。きらきらしててキレーなんだって。でもおれはゆうちゃんの目からこぼれるなみだもきらきらしててキレーだと思ったから、「ゆうちゃんのなみだもキレーだよ」って言ったら、「俺の涙は綺麗やないわ」ってすごく悲しそうな顔で言われた。何でだろう。こんなにキレーなのに。

ゆうちゃんは自分のこと、きたないって思ってるみたい。だってゆうちゃんは、おれがべたべたゆうちゃんにさわることもいやがる。そっと遠ざけようとする。まるで小さな子どもを守る親みたいなことをおれにする。でもゆうちゃん、ゆうちゃんはきたなくなんかないし、あぶなくもないとおれは思うよ。あとべだってそう言ってたもの。本当にあぶないヤツはあんなあからさまにおれを守ったりはしないって。そうだね、たしかにおれはたくさんの人に守られてて、正直ゆうちゃんが守らなくっても他のだれかが守ってくれるよ。でもゆうちゃんは守ってくれる。それは、ゆうちゃんのためじゃなくておれのためでしょう?やさしーね。知ってる。おれはゆうちゃんのやさしーとこ、多分ゆうちゃんよりもよく知ってるよ。

ゆうちゃんは、「俺には血も涙もないんやよー」って笑いながら言ってた事がある。苦しそうに笑う姿は、たきちゃんが前に言ってた『自嘲的』ってやつかな。分かんないけど、頭の中がからっぽなおれにはよく分かんないけど、でも、ゆうちゃんが泣いてるっておれ分かったよ。だからおれはその時、ゆうちゃんの代わりにぼろぼろ泣いた。そしたらゆうちゃんがすっごくあわてて、ごめんねって何回も言った。ちがうの、あやまってほしかったわけじゃなかった。ホントは、ゆうちゃんにも泣いてほしかった。涙って、流すとすっきりするから。だから出来ればいっしょに泣きたかったの。
…もしかして、あの後からかな。ゆうちゃんがおれに気を使うようになったのって。そうだとしたらゆうちゃんはすごくかんちがいしてるよ。おれは、ゆうちゃんのココロの中にある『す』のゆうちゃんに会いたかった。それだけだったんだけどなぁ。

ゆうちゃんがおれのことキライだったらどうしよう。あとべに言ったら「んな訳ねぇだろ」ってばっさり言われたけど、どうなんだろう。だれかにきらわれたくないとかってあんまり考えたことなかったから、ちょっとよくわからない。でも、ゆうちゃんにはきらわれたくないなぁ。だっておれ、ゆうちゃんのことだいすきだから。ゆうちゃんがおれを「キライ」って言っても、おれはゆうちゃんのことすきだから。



→つらつら書いていたら、着地点を見失いました。







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