短編 | ナノ

危ない興奮剤

問題なのは寝起き。忍足が意図しない無意識化で、忍足の意識が覚醒する前に慈郎の意識が覚醒した時にそれはよく起こる。

「…ゆうちゃん?」
「……、ぅん、…」
「ゆうちゃん起きて、もうすぐ時間―」
「あと、ちょっと…ちょっとだけ、」

眠いせいで忍足の目はとろんとろんである。しかも布団は体温のおかげで温かく、低体温の忍足の頬はそのせいかおかげかは分からないが少し赤くて温かい。さほど寝相が悪い訳ではないが、白いシーツの上で忍足の髪は程よく散らばっていて、服も少々着崩れている。慈郎にはどう足掻いたってその光景が扇情的に見えて仕方が無く、健全な男子中学生にとってその光景は目に毒である。少なくとも、平日にこの光景を見てはいけない。理由は一つ。

「…な、じろー、ちょっとだけなら…ええ、やろ…?」

普段素面では滅多に聞かない甘えた声で囁かれて、慈郎のボルテージはMAXになるのは正直誰だって予測出来る事態であった。

「―っっっ!!!!!ご、ごめんねゆうちゃぁんんん!!!おれもう限界っ!!」
「うん、じろーいっしょにねるん?…ん?、ふぁ…っ、ぅん?」
「ごめんね、ホントにごめんねっ!!おれガマン出来ないっ!」
「ふぇ?じろ、どないしたん…?ん、じろ…っ、あっ、ん…っ」

ヤる前から既にとろんとろんな忍足は、快楽に忠実であっさりと堕ちる。いつも均衡を保ってきたはずの理性など寝惚けている忍足には欠片もない。きゅう、と慈郎の背中に腕を回して服を掴んだ忍足は、ケモノと化した慈郎にとって最も危険な興奮剤だった。その息遣いも表情も何もかも。そして。

「じろ、っあ、もっと、もっとぎゅってしたって…?」
「ゆうちゃんかわいすぎだよう!!!!!もうっ、どうなっても知らないんだからね!」

と言いつつ正直己が一番どうなるか分からないというかこれから彼をどうにかするというか。慈郎はこの時既に脳内から『ゆうちゃん』以外のジャマなものはすべて消え去っていたので、今日が平日であることも学校のことも全部忘れて、ただ目の前の忍足を犯すことだけを考えた。








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