そこに在るぬくもり
ゆうちゃんがホントに欲しいものを知ってる。ゆうちゃんが欲しかったのは、どこにでもあるような小さなシアワセ。
「ゆうちゃん、」
きゅ、って握ったら、ゆうちゃんはすごくびっくりしてた。最初は何でそんなに驚くのかわかんなかったけど、ゆうちゃんを見たらすごく動揺してて、顔が赤かった。だからもしかしてって思った。
「どないしたん、じろちゃん」
何でそんなに声が震えているのって、聞いたらゆうちゃんは何も言ってくれないんだろうね。だから気付かないフリをした。ただ、握ってた手の力を強くした。
「おれね、よく迷子になっちゃうから、誰かと絶対手を繋いでなさいってよく言われてたんだよー。だから、」
「…だから?」
「ゆうちゃんがいいなら、手繋いでもいい?」
そしたら離れないよ。言いそうになった言葉は飲み込んだ。ゆうちゃんは少し戸惑って、「…ええよ、」って言った。
触れるシアワセ。体温の共有。繋がっているという安心感。ゆうちゃんが欲しかったのは、己を包む優しい手。
→段々聡いじろちゃんを書いてる気もする。頭ん中では色々ごちゃごちゃ考えてる人のつもりだったので良いんですが、もっと何も考えずに突っ走っても良いかなぁと思わんでもないです。