独占欲の勝ち
どきどきして、ぎゅってしたくなって、ゆうちゃんをじっと見つめる。でもゆうちゃんは、ケータイに夢中でおれを見てくれない。むぅ。すっごくつまんない。
「ゆうちゃん、ねぇゆうちゃん!」
「今日は何やえらいワガママやなぁじろちゃん」
「ワガママじゃないもん、さっきからずっと見てるのにゆうちゃん全然おれを見てくれないからつまんないんだもん!」
「はいはい可愛え子、もうちょっとだけ待ってな」
「えーやだぁ!」
さっきからそればっかりじゃん!
ゆうちゃんが俺に構ってくれない。何だかすごく嫌な感じがする。むかむか?っていうかいらいらーっていうか、とにかくあんまりいい気分じゃない。それもこれもみんな、ゆうちゃんのケータイのせいだ。
「ゆうちゃんはおれとケータイどっちが大事なの!?」
前にTVでやってた決め台詞を言い放つと、ゆうちゃんが急に笑い出した。え、何で!?おれかなり真剣なのに!!
「…ぷくく、じろーが携帯に嫉妬しとるからやん…」
「でもでも、今のゆうちゃんおれよりケータイの方が大事なんでしょ!?だからおれに構ってくれないんでしょ!」
「っ、はは、自分本気かいな…」
そんな訳ないやんってゆうちゃんは言うけど、それならケータイよりおれに構ってよ。おれはガマンのできる良い子じゃないんだから。
「じろーに嫉妬心覚えさせたんは失敗やったかもなぁ。まぁ可愛えからええけど」
「むー…、えいっ」
力任せにゆうちゃんを押し倒す。これならゆうちゃんも観念するでしょ!ね?
「…元の原因はおれやしな、責任はとらなあかんけど」
「うんうん、ゆうちゃんセキニンとって!」
「言うようになったな自分」
「えへへーすごい?」
「すごいすごい」
けだるそうな目でおれを見つめながら頭をなでてくれるゆうちゃん。やっぱりゆうちゃんと同じ場所にいるならゆうちゃんといちゃいちゃしたいよね。観念してメガネを外すゆうちゃんの服に手をかけた。