短編 | ナノ

策士家は笑う

「えー今日試合無いの!?」
「そうみたいやね」
「えーじゃあ寝る」
「しゃあないやっちゃなぁ…」

忍足は空気を読むのが得意中の得意だから、俺がして欲しいことも既に熟知している。だから俺より先にベンチに腰掛けたのだ。いつもは人に譲ってあまり座らないから。そう、俺の目当ては忍足の膝である。

「炎天下なのによう寝れるな」
「だって眠気には勝てないC〜」
「じろちゃんらしいわ」

真夏の炎天下でわざわざ忍足と密着する理由は一つだ。忍足は体温が低い。だから、子供体温のせいで一年中体温の高い俺にとっては格好のエサなのだ。(…意味違うかもしれないけど)

「あー忍足キモチイイ〜」
「俺は逆に熱くて気持ち悪いわ、あんまくっつかんといて」
「嫌〜」

腕に触れたら振り払われたので、何処を触ろうかとじっくり吟味する。すっごい嫌そうな顔の忍足と目が合ったけど、ホントに嫌なら膝枕なんてしないでしょ?結局彼は俺に甘いので、何だかんだ言って「しゃあないな」の一言で諦めることを俺はよーく知っている。さて、何処が良いかな。あ、そうだ。

「じろちゃん何…っっっ!?」

つつつ、と指で忍足の足を下から上になぞると、分かりやすい位に反応した。おっもしろいなぁ忍足。もっとやろう。

「もしかしてー、忍足って足弱いの?」
「ちょ、まっ、」
「顔赤くなってるよ。分かりやすいなぁ」
「止め、あかんて、ジロー!!」
「はいはい」

明らかに息の上がった忍足が、ぜぇぜぇ言いながら赤い顔で俺を睨む。そんな顔で睨まれても怖くないよ、むしろ欲情するし。俺の心情を知っているのか知らないのかは分からないが、忍足はこういう時に墓穴を掘るタイプの人間だということは知っているのでちょっと楽しみだ。彼にとっての失言は、俺にとってはまた別のモノだから。

「あ、足は止めたって、他やったら我慢するで」
「何で?」
「な、何でって…その、」
「もしかして性感帯?」
「は!?ち、違うわ多分…」
「でもかなり良い反応してたよ」

アノ時みたいな、ね。
目を細めてくすりと笑うと、忍足がどうすればいいか分かんないって顔で俺を見た。

「…もしかして、誘ってんの?」
「ちゃうわ阿呆!!何処をどう聞いたらそないなるねん!」
「でも満更でもないでしょ」

べたぁっと手を足にくっつけてやると、忍足はびくん、とあからさまな反応を示した。ほらだから言ったじゃんか。ってか気付いてないと思うけど、俺は結構その気なんだけど。

「ちょ、あかんて、ここ外やし…」
「外じゃなかったら良いんだ?分かった、部室行こっか」
「は?何言うとるの、今部活の時間…」
「試合の無い部活なんて部活じゃないって。ほら、行くよ」
「絶対跡部に怒られるし…」
「じゃあ後で怒んないように言っとくよ。忍足もしかして立てないの?」
「そ、そんなわけあるかい!」
「そ。じゃ、部室行こ」

忍足が大好きな、天使の笑みでそう言えば結局忍足は観念して俺の手を取る。二人で一緒に部室に入っちゃえばもう忍足に逃げ道は無いのにね。それを知ってて、それでも付いて来ちゃう忍足は天然なのかただ頭が足りない子なのかは分かんないけど。(正直どっちもだと思う)とりあえず俺は、こんな絶好の機会を見逃せるほど馬鹿じゃないんだよね。忍足の正直な身体が熱で火照ってるうちに(ヨクジョーしてんのは知ってる)きっと冷房かかってて涼しい部室の中で二人でしか出来ない事をしようか。そっちの方が楽しいから。


(部室に入る一瞬前。俺は此方を見つめていたであろう滝に、目だけで誰にもココに入らせないでねって言うとにこりと微笑んでくれた。多分滝なら大丈夫だろう。部室は防音対策してあるし、これで好きなだけ声出せるよ、忍足。)


→久しぶりに黒じろ書きました。すっごく悪ノリしてるのが分かります。色々詰め込みました。好きなサイト様の影響で、忍足は足が弱いんだと勝手に考えてます。ネタが被ってるのはそのサイト様のを読んだからですごめんなさい。でもかなりいきいきしてるじろちゃん書くのとっても楽しかったです。えろ寸前な話を書くのがとっても好きです。







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