短編 | ナノ

暴走せよ恋する男子

「勘違いだろうが何だろうが、恋は恋でしょ?」

立ち止まってどうするの。男だからって何が悪いの?好きだって思ったのなら、周りが見えなくなったって仕方無いでしょ?謝るのは後でも出来るから、今この瞬間感じたままに動いてしまえば良いじゃない。要するにお前に足りないのはさ、行動する勇気と度胸でしょう?

「行ってこいよ。何もしないで後悔するより、やって後悔した方がずっと良いじゃんか」

にかっ、と歯を見せて笑うと、俺の忠告を聞いた男はわざわざお礼を叫びながら走っていった。うん、俺良いことしたなぁなんて優越感に浸っていると、こつんと本の角みたいなので殴られた痛みが頭に響いた。

「ぃたっ」
「自分こんなところにおったんかい…」
「あ、忍足」
「あ、やないわ。何しとったん?誰か走ってったけど」
「うん。お悩み相談してたんだよ」
「…なぁ、」

あれ誰やったん。

吐息みたいな声音で言うからびっくりした。あ、もしかしてこれが噂の『嫉妬』ってヤツ?可愛いとこあんなぁお前。でも検討違い過ぎて軽くウケる。誰ってお前も知ってるヤツだよ。

「分かんなかったの?」

あんなに目立つ男なのに。多分朝練で会ったでしょ?意味が分からなくて段々苛々し始めている彼が面白くてつい遊んでしまったが、これ以上遊ぶと心閉ざしそうだし止めることにする。お前楽な技持ってるよな。ちょっと羨ましいよ。いや、いらないけど。

「分からんかったから聞いとるんやろ」
「ははは、ごめーん」
「で?誰やの」
「この学校一先輩を愛してる俺達の後輩だよ」
「……あぁ、」

さっきからずっと眉間に皺を寄せていた忍足の表情がやっと和らいだ。お前たまに俺にだけあからさまな態度とるよな。嬉しいから良いけど。

「でもええの?先輩にその気は無さそうやで?」
「良いんだよ。恋はまず勘違いから始まるんだから」







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -