短編 | ナノ

輪っかの話

たまたま入ったペットショップで、不意に侑士が立ち止まった。何だろうと思って侑士の目線の先を辿ると、明らかに動物用の首輪がずらりと売られている場所だった。目が本気っぽかったのであぁこいつ俺に首輪つけたいんだろうなと思った。俺も付けてぇよ、お前に。
でもきっと侑士は首輪を買わないんだろう。不毛だと、そんなことしたって心が手に入らないなら必要がないと、聡明な彼なら気付くはずだ。それでも。

(こいつ俺のこと自由人だと思ってるしなぁ…)

ま、確かに間違いじゃないけど。俺は侑士よりも自由人だし、考えてることも軽いけども。誰よりも何よりも、俺は侑士のことを考えている。俺の心は何時だって、侑士に囚われているってことには気付いてくれないのだろう。良いけど。悪いなんて言ってないんだけど。

(首輪、かぁ…)

侑士の気が済むのなら、首輪だって何だってしてみせるけどさ。世の中にはもっと分かりやすくて丁度良いモンがあるじゃんか。お前の好きなラブロマにも良く出てくるんだろ?少なくとも最近お前と一緒に見た映画にはあったよ。お前感動してたじゃん。覚えてないかな、お前記憶力悪かったっけ?それなら教えてやるから、ちょっとついてこいよ。ペットショップよりも実のある場所に行こうぜ。








「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -