短編 2 | ナノ

遭遇

「あれ、忍足さんじゃないっすか?」

光に当たると青い、艶やかな黒髪を持つその男は。何故だか俺の学校の校門近くで、女子生徒に絡まれていた。



「いやぁ助かったわぁ」

女の子ってどの学校も変わらんのやなぁ、としみじみ呟いた忍足さんは、いつもは見慣れない格好をしている。全身総黒と言えば分かるだろうか、まぁつまるところは…。

「…学ラン、っすよねそれ」

氷帝の制服はブレザーのはずだ。だから見たことのない彼の学ランが、一層違和感を感じさせる。何て言えば良いのか分からないが、似合うか似合わないか聞かれたら答えられる気がしない。

「あぁそうやね、実はこれ四天宝寺の制服やねん。ボタン違うやろ?」
「あ、ホントだ。でもパッと見変わりませんよ学ランなんて」
「そう思て借りてきたんやないか。俺が持っとる訳ないやろ」
「へーぇ…、それで?」
「うん?」
「何しに来たんすか?」

わざわざ他校の制服を借りてまで、ここに来た理由は?下から見上げるように俺が尋ねると、(俺の方が背が低いので当たり前なのだが)忍足さんはにんまりと悪そうな笑みを浮かべて、「偵察や」と言った。

「…氷帝の天才様がわざわざ偵察っすか?」

他に誰かいないのか。少なくとも、一人で偵察って。何か他に魂胆があるのではないかと探りたくもなる。明らかに睨まれてることくらい分かっているであろうに、男はそんな俺のことなど何処吹く風でへらりと笑う。真意の見えない男は、心を閉ざすことを誰よりも得意としているから厄介だ。

「そうや。一人の方が身軽やしなぁ。岳人とか連れてったらいざという時逃げられへんやろ?」
「あぁ…確かにそうっすね」
「せやからまぁ…仕方無くな。本当は部活サボりたかっただけやけど」
「部活した方が良いと思いますけどね…」
「ええやんたまには。大体俺三年生やから?後輩たちに譲ったらなあかんやろ」
「確かにそれは言えますけど…」
「安心しい、練習はちゃんとしとるし。そう簡単にはお前に勝たせんわ」
「どうでしょうね?あっさり抜かれちゃうかも知れませんよ?」
「すごい悪い顔しとるやん自分。流石曲者やんなぁ」
「褒めて下さってどうも。」
「誰も褒めとらんわ阿呆」

ぺしん、と肩を叩かれる。まるで漫才のようだと思っていたら、相手も同じことを思っていたらしい。「漫才みたいっすね」と言ったら、「そやな」と返された。



→ここから話続かなかったので諦めた。この二人はCPじゃなくても美味しいと思う組み合わせ。ホントはこの後じろちゃんが出てくる話でした。







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