やれば出来る子
「おしたりー」
「何やじろちゃん」
「期末テスト20位以内だったらさ、ごほーびちょうだい!」
「えー…じろちゃん頭良かったっけ?」
「悪いよ?」
「じゃあキツいんちゃうの?」
「そこをあいのちからとやらで頑張っちゃうの」
「へぇー、愛の力は偉大やなぁ」
「だからね、ね?」
「ええよ。じろちゃんの好きなもんあげるわ」
「ほんと!?」
「本当本当」
「じゃあおれ頑張るからね、何でもしてね!」
「…何でもしてってどういうことやねん…」
=
「氷帝の期末テストで学年20位以内を取るには何点くらい必要なん?」
「少なくとも400点はいるな」
「じゃあ無理やな、」
「そうかな?もしかしたら有り得るかもよ」
「ジローだしな」
「…ところでじろちゃん学年で何番目くらいなん?」
「えっとねー…」
「テスト返されるまで期待して待ってな、」
「ふぅん?じゃあそうするわ」
「「…。」」
=
「おしたりー!!おれ頑張ったよー!!」
「あぁうん、さっき順位表見てきたから知っとるで」
「じゅうなない!」(ぴかーん)
「すごいやん、ええ子ええ子」(よしよし)
「えへへ〜」
「…ジローならやるかなぁって思ったけど、本当にやるとはねぇ…」
「あれ以来だな」
「あれって?」
「一回慈郎の実力が知りたくてな。100点のテスト一枚ごとに一つ願い事叶えてやるって言ったら、あいつやりやがったんだよ」
「…まさか、」
「100点のテスト五枚、きらきら笑顔で渡して来た時は…流石の跡部も真っ青だったね」
「当たり前だろ、ずっとテスト赤点だったんだぞ」
「出来るのに寝てるだけっていうのが如実に表れた瞬間だったね」
「…なぁ、それ何で俺に言わんの?」
「身をもって体験するべきだろうと思ってな」
「せっかくだし、ねぇ?」
「…それ知っとったらこないな約束せんかったのに…」
「ねぇおしたりー、お願いがあるの」
「…何やの?じろちゃん」
「侑ちゃん、って呼んじゃダメ?」
「それがご褒美の中身なん?」
「ちがうよ。これはお願いだもん」
「あーそう、ええよ。侑ちゃんでも侑士でも好きなように呼び」
「わーい!じゃあねぇ、ごほーびはねぇ…」
「キス?それともセ…」
「ちがうよ〜。あのね、耳貸して」
「?何やの…」
「 」
「…」
「何て言ったか聞こえた?跡部」
「いや全く。」
「ねぇ忍足、ご褒美とやらは何だったの?」
「…あまりに純粋すぎて反応出来へんかったわ…」
「えへへ」
「かっわええなぁもう!!じろちゃん大好きやわぁ〜」
「おれも侑ちゃんだいすきだよ〜!!」
「…何て言ったんだろうね、」
「とりあえずくだらないことなのは理解できた」
『明日の放課後の時間、俺に全部ちょうだい?』