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固執

「ジローなんか嫌いや。もう別れる」
「俺は忍足好きだから、別れないよ」
「俺は嫌いや。だから別れるんや」
「俺は好きだから、忍足と別れないよ」
「俺以外の女の子と関係を持つような恋人はいらんわ。別れる」
「だって向こうからひょこひょこ来るんだもの。だから、何となく」
「自分が快楽主義者なのはとうの昔からよう分かっとるわ。あー何でこんな奴と付き合ったんやろ、人生の中の恥や全く」
「俺は逆かなぁ。忍足と付き合ってる今ちょー楽しい」
「イライラするんや自分の発言が。だからもう黙っとって」
「じゃあ手ぇ繋がせて」
「嫌や触んな」
「忍足の手冷たくてちょー好き」
「俺は嫌いやジローのあっつい手」

「…なぁお前らってさ、何で付き合ってんの?」
「付き合うとらん。もう別れるんや」
「俺は別れないけどね」
「絶対に別れる」
「なぁ侑士。お前ジローのこと嫌いなんだよな?」
「そうやよ」
「じゃあさ、もしジローが死んじゃったらどうする?」
「は?いつの間に俺死んじゃったの?」
「例えばあれだ、女に行為の最中で刺されたとか」
「……。」
「ジローのこと嫌いだって言うんなら、清々するんじゃね?」
「…ジローが、死んでまったら…?そしたら…」
「…。」
「そしたら?」
「…、あ、」
「おい岳人。何俺の忍足泣かせてんだよ」
「俺は泣かせたかった訳じゃねぇよ。侑士がジローのことどう思ってるか知りたかっただけ」
「…どないしよ、止まらんのやけど」
「おーよしよし、俺がいるから安心しろよ」
「…俺、涙腺壊れてしもたんかな」
「じゃあそういうことで良いよ。とりあえず抱き締めてやるからこっち来い」
「?、ちょ、あ…」
「俺が悪かったから、女の子との縁も出来るだけ切るからさ。別れるなんて言わないで。俺と一緒にいて」
「…出来るだけって…そこは言い切らなあかんちゃうの?」
「いーじゃん別に。気にすんな」
「結局ただのバカップルなんじゃねぇか」
「そうだよ?」
「……これはもう軌道修正出来へんところまで来てしもたんか?あぁもう…」
「忍足気にすんなって。俺お前のことが一番好きだから」
「そないなこと言われて誰が信じる思う?」
「そんなこと言っても背中に回した手が俺の服ぎゅって掴んでるのに気付かない忍足好き」
「え?あ、こ、これはやなぁ…っ!!」
「はいはいジローは早く侑士のナンバーワンのオンリーワンになってやれよ。んで侑士はもっと素直になれよな。じゃあな!」
「…がっくん何がしたかったん…?」
「多分俺の予想では恋のキューピットだと思うけど…岳人には無理だろ」
「何かがっくんっぽくないしな。きゅーぴっとなんて言う響きは」
「だなー」


→何だかんだ言ってもカップルな二人。書き直すかもしれないけど一応上げておきます。「俺の忍足泣かすな」が言わせたかっただけだと言えばそんな感じ。







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