長編小説 | ナノ


接触おまけ
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ジローって子は、俺が夢を見た後に目を覚ましたらベッドん中におった。俺の腕ん中で、まるで抱き締め合って寝てたみたいに。俺はめっちゃ驚いて飛び起きたんやけど、ジローはゆるりと身体を起こしてむにゃむにゃ言いながら「おはよう」とか言うた。覚えとる、間の抜けた声やったから俺はしっかり覚えとるで。思わず拍子抜けしてもうたし。
俺は突然現れた男の子をどうすればええんか分からんくって、でも夢の中で会ったからそこまで危機感とか無くて、とりあえず何すればええんやろう、分からん。こういう時、俺は簡単に諦めるのだけれど、諦めてもええんかは微妙なところやと思う。

俺が何も喋らんかったからかな、ジロー(そん時は勿論名前なんか知らなかったのだが)は大きなおめめをぱちくりさせて、かくんと首を傾けた。可愛え顔やなぁ、癒されるわぁ……やなくて。

「…えっと、自分どちらさん?っちゅーか、自分何処から来たん?何で俺のベッドの中におんねん、」
「えーっとぉ……、うーん…話すと長くなるんだけど…」
「あ、長くなるんや」
「うん、長くなるよ」
「そうか…俺今日学校あるから正直長なると困るんやけど」
「あ、そうなの?じゃあお話は後にしよっか。とりあえず、今は」
「そうやね、」

忘れていたのだが、その日は交通事故に遭った次の日で、親は「一日ぐらい休んでもええんよ」って言っとったけど俺は休みたくなかった。だって皆勤賞狙っとるからな!遅刻も一回もしたことないし。それをたかがかすり傷くらいしかしていないだけで休むやなんてありえへんかったので、目の前におる正体不明の男の子のことはとりあえず後回しにする。

「…あ、自分そういえば学校とかはええの?おうちとか、家族とかは?」
「うん、大丈夫だよ。だから一緒にいて良い?」
「学校とかないんやったら別にええけど…」
「じゃあ一緒にいるね。話はその後で」
「そやな、まずは学校に行かなあかんねん!」

まぁ大丈夫って言うとるんなら大丈夫なんやろ。あんま深く考えずに、俺は身支度を整えて階段を降りた。



 


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