25ブラインド22/51
「太陽なんかなくなってまえばいいのに」
いつもよりややぶっきらぼうな言い方で、ゆうちゃんが屋上にやってきた。どさりとコンクリートに座ると、深くため息をつく。何かあったのかな、あったんだろうなぁ。慈郎は重たい瞼を擦って無理矢理動かして、ゆうちゃんの方へと身体を向けた。
「どうしたの急に」
いつもはそんなこと言わないのに。暑さで頭がやられてしまうような人間ではないはずだ。ずるずると身体を引きずって、ゆうちゃんに近付いた。
「俺は昼より夜の方が好きやなぁ。静かやし、暗いし」
「…もしかしてゆうちゃんまぶしーの?」
「それもあるけどな、」
怪訝そうに顔をしかめるゆうちゃんを見て、何となくそう思った。眩しそうで暑そう。ゆうちゃんの長い髪はとってもせくしーだけど、今はちょっと暑そうに見える。うっすらと汗をかいているゆうちゃんを見つめながら、慈郎は次の言葉を待った。少し濡れたゆうちゃんの唇がとても美味しそうだと思う。
「お天道様はぜーんぶ明るく照らしてしまうやんか。人には照らされたくないもんもあるんやで?」
「ゆうちゃん…、」
それってつまりこういうこと?
ゆうちゃんの身体を押し倒す。そして、ワイシャツのボタンを外すとそこにあったのは赤い情痕。まるで病気のようにも見えるそれに触れると、ぴくりとゆうちゃんの身体が動いた。
「…あー…、まぁ、間違ってはないけど…」
「ねぇゆうちゃん。これ全部おれが付け直してもいい?すっごくなめたいしおれも跡つけたい」
「…ええよ。別に変わらへんし」
「じゃあする」
べろりとなめてもう一度同じ場所を吸うと、ゆうちゃんの言った通り外見は何一つ変わらないけれど。でもでもこの傷痕は、おれがつけたって言っても過言ではないよね。
「…じろちゃん。スるんなら保健室とか行こうや。ここ眩しいし暑いし嫌やわ」
「全部おれに丸見えだし?」
「それは言わんでええわ」
立ち上がってゆうちゃんの手を引っ張ると、ゆるやかにゆうちゃんも立ち上がる。ぱんぱんと服についた汚れを叩き落してから、おれはゆうちゃんと手を繋いで太陽に照らされない場所へ向かった。
→セフレがいる設定をあまり生かしていないなぁと思ったので書いてみた。ブラインド→日光遮断みたいな感じで考えてたらこんな話になった。
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