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甘いからといって全てが許されるわけでもないけど
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「ゆうちゃんはどうして甘いの苦手なの?」
「甘ったるくて胸焼けおこすからやよ」
「じゃあこっちは?」

ゆうちゃんが持ってる本を指差して尋ねた。ゆうちゃんいわく、『ぐっだぐだに甘い少女漫画みたいな話』らしいから。

「あれは物語やもん。俺のことやないし」
「砂糖吐くくらい甘いんじゃないの?」
「…砂糖やなくて砂やな」
「どっちにしても吐くんだね」
「まぁな」

ゆうちゃんは甘いのが好きで嫌い。お菓子は嫌いで本は好き?ってことなのかな。よく分からないや。おれ頭からっぽだから。
甘いのがどうして苦手なの?って聞いたはずなのに、ゆうちゃんは「じゃあ自分は何で甘いの好きなん?」って返した。理由?そんなの、一つしかないじゃない。

「甘いとおいしーから!あと、シアワセになれるよ」

何でか分かんないけど、甘いものを食べると幸せな気持ちになる。幸福感、って言うのかな。あまーいおいしーしあわせーって感じ。ゆうちゃんは分かるかな?

「…まぁ、何となく言いたい意味は分かったわ」
「ホント?よかったぁ〜」
「食欲は人の三大欲求の一つやからなぁ。満たされれば幸福感は感じるやろな。食欲、睡眠欲、性欲な」
「へー…」

そうなんだー。ゆうちゃんは物知りだなぁ。あ、だからおれ寝ると幸せっていうかきもちいのかな。たっくさん寝ると確かにいっぱい好きなもの食べたみたいなしあわせーな気持ちになれる気がする。あとは。

「なぁじろちゃん。甘いもの食べとる時と、セックスしとる時。どっちの方が幸せやって思う?」

目を細めて意地悪な顔をしたゆうちゃんが、探るような目でおれを見た。



 


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