お題小説 | ナノ


糖分欠乏症
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相手をどろどろに甘やかすのは嫌いではないけれど、相手にどろどろに甘やかされるのは好きじゃない。せめて手綱は持っておきたいという最後の悪あがき。行為ではそうでもないのだが。

甘ったるい少女漫画の王道のような展開は見ていて退屈しないから好きなのだが、自分がされるのはちょっとどころかかなり抵抗がある。だって男だし。するのは案外楽しいけれど、された方の立場になってよく考えてみて欲しい。心を閉ざすことなく相手をしっかり見据えることが可能だろうか。多分無理だ。噴くか笑うかするだろう。あとすごくいたたまれない気持ちになるに違いない。相手は本気だから余計に。ああいうのは互いに相手に対して盲目になっているからこそ出来るものであり、目を覚ましたらそこで終わりなのだと知っている。

慈郎の顔は良く整っていて、額が当たるほど近付けばその容姿はより鮮明になる。天然なのかわざわざ手を加えたのかは知らない金色の髪がきらきらして綺麗で、同じ色の睫毛が丸くて大きい瞳に若干かかっているのが分かった。慈郎の目に映っているのは明らかに自分一人で、優越感か罪悪感かよく分からない感情がもやもやと自身の腹の中に燻っている気がした。



 


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