お題小説 | ナノ


砂糖はお好みで
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甘いだけが全てじゃないけど、甘いと美味しく感じるのはおれが甘党だからだろう。安物の飴ちゃんも跡部が買ってくれた飴ちゃんもみんな美味しいと思った。優劣なんてつけられない。だって甘くて美味しいから。

おれの目の前で黒いコーヒーを飲んでるゆうちゃんは、おれのことを何とも言えない目でじっと見ている。ゆうちゃんは甘いのすきじゃないってちょっと前に聞いたから、もしかしたらおれが今食べてるケーキのせいかも。…かもって言うか多分そう。見てるだけで胸焼けするなら見なければ良いのに、ゆうちゃんは熱心におれを見ている。ちょっと照れる。ゆうちゃんビジンだから。見つめられるのはすきなんだけどね。自制が効かなくなりそうで、効かなかったらあとで怒られるから怖いなぁ。

生クリームたっぷりのスポンジをぷつり、フォークで刺す。やわらかなそれは簡単に身を貫いて、白い皿からおれの口の中へと誘導される。もぐもぐ。うん、美味しい。誰が作ったとかどれくらいの時間がかかったとかはおれは全く知らないけれど、スポンジがふわふわで生クリームたっぷりでとっても美味しいケーキだった。…ゆうちゃんはどうかな、ちょっと無理かもしれない。ゆうちゃんには甘過ぎて。

「…美味しい?」

ふわりとおれの前に落とされた言葉。微笑んだゆうちゃんとばっちり目が合う。にっこり。おれも思わずにっこり。答えは既に決まってるので、素直に。

「うんっ!おいしーよ!」
「ほっか…」

穏やかに微笑むゆうちゃんは優しくてきれいで。口の中の甘さも目に映るゆうちゃんの笑顔も、おれはとってもだいすきだ。



 


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