06視線6/51
その視線に気付いたのは、部活の試合中。じっと見つめられている気がして、思わず振り向いたのが最初だった。おれと目が合うと、すぐに逸らされてしまったけれど。あれは間違いなく、おれを見ていたのだというのは分かったので、正直ちょっとうれしかった。
彼に視線を向けていることに気付いたのは、彼が振り向いて目が合ったから。普段あまり人と目を合わさないから、金色の瞳にしっかり見つめられた時、驚いてすぐに視線を逸らしてしまった。こっちが先に見ていたというのに。申し訳なさと、彼はそんなことを考えるような人間ではないから大丈夫という思考が混じりあった。
おれはずっと忍足を見ている。だってあきないし、キレーだし。見ない理由が無いから?かな。しいて言うなら、忍足の動き一つ一つをじっくりと見るのがすき。だから、おれのことを見ていてくれたって分かった時、けっこうかなりうれしかったよ。
目で追うのは金色の髪の毛。まだ会っていないが、従兄弟も金髪に染めたと電話で聞いた。一応メールで写真は見たけれど、あんな色では無かった気がする。太陽に光って輝くそれは眩しくて、目が離せなくなるくらいに美しかった。
忍足はおれを見るけれど、目を合わせてはくれない。何かを隠すように、さっと視線をずらされてしまう。ちょっともったいない気がする。おれは、忍足の目に映ったおれの目に映った忍足もキレーだと思うんだ。だからね、忍足。もう少し近い距離で、目が合うと良いのにね。
彼を見る機会が増え、多分相手にもそれが伝わったのだろう。視線が合って逸らした後、彼が俺を見つめる時間が長くなったような気がした。ちょっと居た堪れないというか、人に見られるのはあまり得意じゃないので、早く逸らしてくれないかな、と思う。彼に見つめられると、何だか胸がざわざわする。息苦しいような、恥ずかしいようなよく分からない不思議な気持ち。
―これは俺たちの恋が始まる少し前のお話。
→被害者という名の第三者を出してバカップルの嫉妬話を書こうかとも思ったんですが、前に同じような話書いたなって思い出したので、出来るだけ初々しい話を書くことにしました。忍足がえろたりっぽくないので、どことなく青春っぽい(笑)
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