05不意打ち5/51
中二。くっつく前。
「ゆうちゃんすきだよ」
「さよか」
コイビトになるためには想いを伝えるべきだって、滝ちゃんが言ってたからさ。毎日毎日ゆうちゃんに、おれのキモチ伝えてるつもりなんだけどなぁ。さらりとかわされてる気がするのはきっと気のせいじゃない。だってゆうちゃんおれの目見てくれないし、ぽんぽんって頭なでてればいいって思ってるんでしょ。むぅ、おれはそんなことでごまかされないんだからね!
「じろちゃんクッキーあるけど食べる?」
「食べるー!!」
ゆうちゃんのポケットから出てきたクッキーに目を奪われて、おれは差し出されたそれを両手で受け取った。見覚えのある包装は、宍戸曰く高い洋菓子屋のものらしい。ほろりと口の中で崩れるクッキーだってことは知ってるけど、味はあんまり変わらないんじゃないかな?っていうか、クッキーってみんな味変わらなくない?おれクッキーすきだから良いけど。
「自分ホンマに菓子好きやなぁ」
「うん!すきだよ!」
「…ふ、さっきと変わらへんな」
「え?なにが?」
「何でもあらへんよ」
クッキーを食べるおれをゆうちゃんはじっと見つめる。ちょっとどきどき。キレイに指までなめて、ありがとー!!ってお礼を言った。うん、おいしかったよ。
「じろちゃん口元に食べかすついとるで」
「え?どこー?」
「ココ、」
そう言って、ゆうちゃんが身を乗り出してくる。あれ?って思った時にはもう遅くて、口元を何かがかすめた。
「…?」
「ごちそうさま、」
にこりとゆうちゃんは何事も無かったかのように笑う。だから何となく、おれもあんまり何か考えたりはしなかった。
→この話、他の小説で書いたネタが若干含まれてます。こっちの方が書いたのは先ですが、向こうを先に読んだ方が意味が分かるかもしれません。
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