お題小説 | ナノ


01浴室
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白く綺麗なバスルームに良い歳した男が二人、そんなに広くも狭くもない浴槽に浸かっている。今日のお風呂は泡風呂で、手で掬って息を吹きかけてやればふわふわと集合体だった泡は離れて宙へと舞い上がった。

「ゆうちゃん見て見て、シャボン玉〜」
「綺麗やねぇ、儚い命は」
「ふぇ?」

何のこと?と首をかしげる俺に、ゆうちゃんは長い指をシャボン玉に向ける。無意識にシャボン玉へと目線を向ければ、ふわふわと浮いていたシャボン玉はすぐに割れて消えてしまった。もったいない。

「何か童謡の方を思い出してまうわ。シャボン玉が本当は子供の命の暗喩って話。知っとる?」
「知らなーい」
「ジローはそうやろうなぁ」

何だかナイーブな気持ちになるわぁと呟くゆうちゃんの頭の中は、頭の悪い俺には良く分からないけど。しっとりと濡れたゆうちゃんの髪の毛とか、泡に隠されているとはいえ若干見えている首筋やら鎖骨やらがとっても色っぽいことに唐突に気付いて、目のやり場に困る。浴室でヨクジョーしたら怒られることは経験済みなのだ。でもゆうちゃんと二人でいるのに、ゆうちゃんを見ないなんて出来ないよ。

「ジロー顔赤いで。のぼせたんか?」
「のぼせてないもん…」
「じゃあこっちか、」

そう言ってゆうちゃんが近付いてくる。ざぶ、と水面が揺れて、泡が浴槽から溢れ出た。いつになってもゆうちゃんの素顔が目の前に来るとどきどきする。眼鏡の無いゆうちゃんはキレーでビジンでえろいから。

「ゆ、ゆうちゃん、」
「んー、何?」
「お風呂出よっか!ね、ね?」

もう限界だから、早くゆうちゃん食べちゃいたいから!ってゆうちゃんに言ったら、「自分天然の爆弾やんなぁ…」ってやわらかい声音で囁かれて、もう俺我慢出来ずにゆうちゃんの唇を奪っちゃったよ!あぁもう絶対に怒られちゃう…。でも欲望にはちゅーじつに生きてるから仕方無いよね。ゆうちゃんがくすりと小さく笑ったような気がしたから、了承を得たんだと勝手に理解して舌を捩じ込んだ。

→正直これ書きたくてお題やったみたいなものでした。お風呂ネタはとても美味しいです。最初は跡部の家の浴室のつもりだったんですが、あそこの浴槽は絶対おっきいはずなので止めておきました。(っていうよりまず人ん家でやろうとするなって話ですね)


 


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