お題小説 | ナノ


03指先
3/51

「ゆうちゃんの指ってえろいよね」

無意識に手を取って、好き勝手に人の手を触っていた慈郎が急にそんなことを言い出したので驚いた。確かにそんなような話は前にも聞いたような気がするが。

「ゆうちゃんの指キレーだし。おれ、ゆうちゃんの指見てるとちょっとどきどきするんだよね」
「それはどうも。ありがとさん」

大体慈郎は俺のどこかしらを見ていると欲情するらしい。素顔にも欲情するらしいし、俺がテニスをしていても本を読んでいても欲情すると言う。正直それってどうなんだろうか。男として。彼の将来が心配になった。

「…ねぇゆうちゃん、」

じっと俺を上目遣いで見つめながら、慈郎は囁くような小さな声でぽつりと呟いた。

「ちゅーしてもいい?」

ほんのり頬を染めながら。やっぱりこの子はもうあかんのかもしれんと思いつつ、そっと己の手を彼の口元に近付けた。


→まだ付き合ってないですこの2人。





 


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -