真っ青な呼吸
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水葬様より拝借
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私は銀屏の力持ちな所、大好きだよ。
名前が贈ってくれた最高の言葉。周りの女の子達とは明らかに違う力の差、傷付いたりもしたがそんな時この言葉を心の中で繰り返し何度も救われた。周りと違っても良い、自分を受け入れる事が出来たのだ。

だから、私に出来る事。名前を守ってあげなきゃって思ったの。
「そろそろ名前が到着する時刻じゃないか?」

「あっ本当だ!有難う小兄上、名前を迎えに行かなきゃ」

昔の思い出に浸ってると、優しい兄関索の声に漸く意識を引き上げた。一度は住まいを移し離れてしまった親友の名前が今日、女官としてこの地に戻ってくる。
数日前に届いた便りを握り締め、銀屏は颯爽と駆け出した。艶のある黒髪を揺らしながら。

便りが届いてから、世界は疾う疾うと輝きを日々増て行った。これ以上に無い位、全てが喜びに満ち溢れて眩しい。追い風に、花びらが巻き上がりくるりと舞った。
あれから何年も経った、銀屏も子供の面影を少し残しながらも成長した。自分を受け入れてから性格も快活になったし、良く笑うようになったと思う。

「はしゃぎ過ぎて何かやらかさないと良いが」
「そ、それは確かに…」
「銀屏ならきっと、大丈夫…」

兄達の優しい眼差しは、銀屏が走り向かって行った先を見据えて居た。花々を追い越してやがて見えなくなったもう一つの花を想いながら。

「名前!会いたかったよっ」

何年の時が経っても、成長して姿が変わっても。すぐに気付いた。
色素の薄い髪、木々の葉に似た瞳の色。幼い頃の面影を少しだけ残して名前は大人の女性に成長していた。か細い腕がその優しい性格を表すかのようで、銀屏の胸が躍った。あの時のまま名前は暖かい優しさを携えてそこに居た。
弾む呼吸に満面の笑みを浮かべてついに二人は数年ぶりの再会を果たした。

「銀屏っやっと会え…ぐふっ」

「あ…」


真っ青な呼吸

(やはりこうなってしまったか)
(ごめんなさい大兄上…)


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