何度目かの壁外調査でシズカは死んだ。初列の数少ない生き残りとしてこちらに合流したところで、飲み込まれた。
 その瞬間を、俺は見ていた。


 アイツの顔が、口の中で噛み砕かれるのを、見た。



 幸か不幸かなどと言ったが違う。俺は一度見ずに済んだのに、結局見てしまった。

 愛する女の顔がばらばらにされるその瞬間を。
 枝のように腕が折られるのを。
 骨の軋む音を。
 悲鳴を。
 死を。


 死に際を、この目で見てしまったということだ。





( 死に際 / 20110420~20110810 )
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