「よォ、久しぶりじゃねぇか、シズカ、会いたかったぞ、フッフッフ……」

 約束通り、兄はセントポプラの駅へとやってきた。相変わらずのド派手な格好と人間離れした体躯に、もうだいぶ家に帰りたくなってきた。

 着ているワンピースに気づいたのか、兄はニンマリと口角を上げる。


「似合うモンだな、フッフッフ…」
「そりゃあ、どうも」
「時間があるわけじゃねぇからな、行くぞ、」


 私の素っ気ない返事を気にせず、腕を引っ張られる。

 エニエス・ロビーへ向かう船の中、兄はご機嫌のまま、色々とまくしたてていた。
 私は、なぜ海軍本部なんぞに連れて行かれるのか、そもそもお呼びなのは兄だけであって私は関係ないわけで、途中で追い返されるんじゃなかろうか、もしそうだったら良いな、いやでも兄がそんなことを許すわけないよなぁ、と悶々としていた。帰してくれないだろうか、正直もうおうちに帰りたい。


 やがて動きが止まった船内で、兄が立ち上がる。


「行くぞ」
「………ハイ」


 この先なにが起こるのか、予想がつかないのと、船から降りたその場所が、あまりに壮観_流石は本部だ_だったことで、意識せず私の鼓動が早まる。
 神様どうか、無事に家に帰れますように。


(続く)
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