「なぁ、宗谷と一緒に暮らすってのは、どんな感じなんだ?」

おもちゃ箱をもらった子供のように尋ねられた。宗谷と私が一緒に暮らし始めて(私が宗谷のところに転がり込んで)から、既にかなりの月日が流れている。今更聞かれるようなことではなくて、私は一瞬きょとんとしてしまった。

「えーっと、」
「いやぁ、別に深い意味はないけどな? 聞いてなかったって。宗谷は難しい男だからな」
「ああ…まぁ、……そうですね。難しいっていうか…変わってますけど」


雨に濡れたがりなこと。脱いだものをそのままにすること。食べ物の好き嫌いが多いこと。将棋板に食らいついて、夢中になりすぎて飲まず食わずになること。

時折、びっくりするくらい私を求めてくること。

(最後のことを除いて)私はあの変わったひとのことを喋った。会長は、聞いているうちに笑いをこらえきれていない。深い目尻に少し涙が浮かんでから、

「いやぁ、しかしびっくりしたわ」
「なにがですか?」
「宗谷に女性が出来るなんて思ってなかったから」

会長はきっぱりと言った。

「ほら、あんな風貌だろ? 言い寄ってくる輩は多いんだ。でも宗谷は誰も近付けなかった…というより興味も示さなかった。初めてだよ。おまえさんが」
「はぁ……そうなんですか」
「宗谷にとっておまえさんにはなにかがあったんだろうよ。いやぁ、なんといっても美人だしなぁ」
「あはは、またそんなこと言って。なにも出ませんよ」
「いやいや、長年培われた目には自信がある。まぁジジイの戯言なんだ。素直に聞いてくれよ」

会長は嫌みがなく豪快に笑ってから、煎餅をつまんだ。私も勧められたけれど丁重に断って、手を持て余した。


( もうすぐ彼が来る、 )

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