「よ、宜しくお願いします」

 声は震えていないだろうか。髪は曲がっていないだろうか。あのリヴァイ兵士長に私ごときが話しかけて良いものか、けれど、これは事実だ、夢じゃない。あの、兵士長と、共に闘える___。
 リヴァイ兵士長は、書類を粗暴に机に置いた。

「…シズカ、とか言ったか」
「は、はい!」
「エルヴィンの判断があったからこそ従うまでだが、ここでは弱いやつは死ぬ。当たり前だ。9位だったそうだな。だからと言って新人がここにいるのは『間違い』だ」



 頭を鈍器で殴られたようなショックがあった。この冷たい声はなに。




「『必要』ではないと俺が判断したら、すぐにでも他に移ってもらう。良いか」

 このショックは私が甘えていたから、つまりは、頑張って勉強をして、10位以内に入ったのに憲兵団を選ばず、調査兵団に入ったことは褒められることだと_そのことを言われると思っていたから? 表向きは、この人のためにとか思っていたのに本当にそんなこと出来るの? 違うんじゃないの。私がここに入ったのはイイコでありたかった為? 調査兵団に入ることは、褒められること? そんなことを気づかないうちに思っていたの?
 あの切った前髪こそ、私の汚いものが染み込んでいる。きっとそうに違いない。私は馬鹿だ。ここは"そういう"場所じゃない。わたしがやっていたのは"ごっこ"。今から始まるのは"本物"。


「オイ、聞いてんのか…クズ」

 落胆してもいい。むしろ落胆しろ自分。そのままこの人を嫌いになって、人類のために尽くす兵隊となれ。


( 20110422 )
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